「日本は治安がいい」とドヤる人がいますが、災害も含めた総合的な安全度は決して高くありません。
しかもスリや置き引きなどのシンプル(?)な犯罪と違ってちょっとイカれた怖い類のが多いイメージがあります。
特に近年は電車内という閉ざされた空間での凶行が目立ちます。
2024年は山手線の御徒町駅─秋葉原駅間の車内で、女が刃物で乗客を切りつけ男性4人がケガ。
2022年はホストの男がJR東北線(宇都宮線)の電車内で喫煙し、注意してきた男子高校生に暴行を加えて重傷を負わせる。
2021年は小田急線の車内で男が乗客らを刃物で切りつけ10人がケガ。
その他、多数。
そして、京王線ジョーカー事件ですよ。
★ もくじ
京王線刺傷事件とは
事件の概要
2021年10月31日、東京都調布市を走行中の京王線車内で発生した殺人未遂事件です。犯人は刃物を持っていた男性で、映画バットマンシリーズの悪役ジョーカーに扮し乗客を切りつけた上、液体を撒いて放火、18人が重軽傷を負いました。幸い、事件による死亡者はいません。
事件が起きた京王線
京王線は、新宿駅を起点とし調布駅を経由して京王八王子駅までを結ぶ、全長約44.5kmの路線です。それ考えるとフルマラソンってとんでもない距離ですね。
なお、東[京]と八[王]子を繋いでいるから京王線。東京と千葉を結ぶから京葉線と言うようなものです。
京王線の特急は、明大前駅〜調布駅の間にある11の駅をすっ飛ばしていたのですが、2022年3月から烏山にも止まるようになりました。もともとこれらの駅には、2015年のダイヤ改正で準特急が止まっていたから統合されたんだけど、事件の影響はゼロじゃない気もします。犯人は明大前〜調布間は駅に止まらないのを知っててこの区間を狙ったらしいので。
犯人について:ジョーカーに扮した男
犯人がジョーカーに扮した理由
事件の犯人は、悪役のジョーカーと同様、社会から見捨てられた人物として自分自身を位置づけていたようです。実際、彼は事件前ジョーカーに憧れ、映画「ジョーカー」を何度も観ていたとのこと。
ジョーカーって誰?
ジョーカーは、DCコミックス「バットマン」シリーズに登場する、スーパーヴィラン(アメコミの悪役)であるジョーカーをベースにした2019年のアメリカ映画の主人公。
1981年のゴッサム・シティを舞台に、アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)が社会から見捨てられた人物として自分自身を位置づけ、ジョーカーに変貌していく様子を描いています。
幼少期の生い立ち:犯人の背景
犯人の家族環境
ネット上では、父親が元暴走族だとか母親から捨てられて孤児施設で育ったとか噂が飛び交っています。ですが、とりあえず判明しているのは生まれも育ちも福岡で、母親と5歳下の妹との3人暮らしだったこと。そして幼いころ両親が離婚しており、父親との接点がほとんどなかったということ。
これだけだとちょっと背景はわかりませんが、歪んでしまったキッカケは学校でクラスメイトから暴力を受けたことが一因になっていることは間違いなさそう。
学生時代のエピソード
住んでいた家が古くて虫が出るようなところで、小学校高学年になった頃、カバンから虫が出てきたことをきっかけに女子を中心にいじめられるようになったという。
小学校高学年の女子なんてめちゃくちゃ怖いですからね。そんな連中から暴力を受けたとなれば、そりゃおかしくなるかと。
事件の動機:なぜ凶行に及んだのか?
犯人の心理状態
高校卒業後、介護施設に就職。しかし長続きはしませんでした。その後はアルバイトを転々とし、最終的にコールセンターの契約社員に。そして2020年3月、中学時代からの彼女と一緒に住み始めます。
ところがわずか8ヶ月後の11月、自分の誕生日に相手から別れを告げられました。さらに翌年の5月には、コールセンターで顧客対応のトラブルが原因の自宅待機を命じられ、続いて6月に元カノが結婚したことを知らされたと。
こんな感じの不幸が続いたことで「自分には存在価値がない。死にたい」と考えるようになり、挙げ句の果てに「大量殺人をして死刑になりたい」との考えに至ったようです。
社会的背景との関連性
ただ、この程度の不運なら正直なところ誰にでも起こりうるわけで。
ここで限界値に達したのなら、それ以前の、例えば小学校時代にイジメを行なった女子たちから憎しみは繋がっていると見るのが妥当かと。
にしても結局はこの人、死刑にはならずに懲役23年。
あの、法に関してはまったくの素人なのでわからないんですけど、この23年て「そのくらい悪いことしたから、これくらい閉じ込めてやれ」ってことなんでしょうか。
それとも「23年あれば更生して真人間になれるだろう」ってことなんでしょうか。
23年って、どこから来てるのかを知りたい。