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サンウェルズ内部告発の真相とは?チクられてバレた5つの事実と、今後について

サンウェルズ内部告発の真相とは?チクられてバレた5つの事実と、今後について

警察やヤクザの使う用語として、密告やタレコミを意味する「チンコロ」。この語源は、日本の小型犬である狆(ちん)から来ているとされています。ここから小さい者や臆病者を指す言葉となり、後に密告者を指すようになったと考えられているそうです。

一般社会では臆病者どころか、ものすごい勇者ですけどね。

で、東京女子医大の件と並んで話題になった老人ホーム運営会社「サンウェルズ」の不正請求疑惑。パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を運営する同社が、訪問看護で過剰な請求を行っていたとの内部告発が明らかになりました。

当初は否定していた同社でしたが、最終的に不正を認める事態に発展。この問題の背景には何があるのでしょうか?今回は、サンウェルズの内部告発問題について、これまでの経緯や明らかになった事実、そして今後の展開について調べてみました。

サンウェルズとは?会社の概要と事業内容

全国展開する介護サービス大手

サンウェルズは、石川県金沢市に本社を置く介護サービス会社です。2006年の設立以来、パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を中心に事業を展開してきました。

全国に施設を持ち、訪問看護ステーションも併設するなど介護業界では知られた存在となっています。

同社の特徴は、難病であるパーキンソン病に特化したサービスを提供していること。パーキンソン病は、脳内のドーパミンが減少することで、手足の震えや筋肉のこわばりなどの症状が現れる進行性の病気です。モハメド・アリやマイケル・J・フォックスで有名ですね。

この病気は症状の進行に合わせて、きめ細かなケアが必要となるため、専門的な知識と経験が求められます。

サンウェルズは、このような難しい病気に対応できる人材を育成し、全国各地で質の高いサービスを提供してきたことで評価を得ていました。しかし、今回の内部告発により、その評価が一変する事態となってしまいました。

内部告発でバレちゃった5つの衝撃事実

1. マニュアルに記載された「必須」の過剰サービス

内部告発によって明らかになった最も衝撃的な事実は、社内のマニュアルに「1日3回」「複数人での訪問」を「必須で」と記載されていたことでした。本来、訪問看護の回数や訪問する職員の数は、患者さんの状態に応じて個別に判断されるべきもの。

しかし、このマニュアルの存在により、実際の必要性に関わらず一律に過剰なサービスが提供されていた可能性が高いと言えます。こういう医療系のサービスって業者のことを信じてしまいがちですからね。使う側もちゃんと勉強しておかないとだ。

なお、この事実は元&現社員の証言によって裏付けられています。患者さんの状態を無視して一律のサービスを押し付けることは、医療や介護の基本的な考え方に反するものでしょう。

必要以上のサービスを提供することで、不必要な負担(つまり余計な金)を患者さんや家族に強いることにもなりかねません。

2. 全社的な不正請求の疑い

内部告発者たちは、サンウェルズが全社的に過剰な訪問看護で報酬を請求していると指摘しています。これは、もちろん一部の施設や個人の問題ではなく、会社全体の方針として不正が行われていた可能性が大。

もしリアルに全社的な不正請求が行われていたとすれば、その規模は膨大なものになるでしょうね。サンウェルズは全国に多くの施設を展開していますから、不正請求の総額は数億円、あるいは数十億円に上る可能性も。

これ、介護保険制度そのものへの信頼を揺るがしかねない重大な問題ですよ。それでなくても信頼ないのに。

3. 診療報酬審査機関からの指摘

実はサンウェルズの不正請求問題、今回の内部告発が初めてではありません。2022年4月には、厚生労働省所管の法人「社会保険診療報酬支払基金」の審査委員から、同社が運営する東京都内の訪問看護ステーション2カ所に対して指摘がなされていたので。

この時点で、すでに不適切な請求の疑いが浮上していたにもかかわらず、サンウェルズは抜本的な改善を行わなかったようです。むしろ、その後も同様の手法で不正請求を続けていた可能性が高いと言えるでしょう。

4. 当初の否定から一転、不正を認める

サンウェルズは最初に不正請求の疑惑が報じられた際に「そのような事実は一切ない」と否定、バレない自信があったのか、法的措置も検討すると強気な発言をしていました。

しかし、その後の調査で不正が明らかになり、最終的に会社側も認めざるを得ない状況に追い込まれました。

最初から正直に事実を認め、改善策を示していれば、まだ信頼回復の余地があったかもしれません。しかし、いったん否定してから認めるという対応はめちゃくちゃカッコ悪く、会社の信頼性を大きく損なう結果となってしまいました。

5. 全国19カ所の訪問看護ステーション休止

不正請求問題の影響は、当然のごとく事業にも大きな打撃を与えています。2025年1月13日の報道によると、同社は全国19カ所の訪問看護ステーションを休止することを決定しました。

ただこれ、多くの利用者が突然サービスを受けられなくなるし、マジメな従業員も仕事を失うという。介護って命に直結するものだけに、単に一企業の問題にとどまらず、地域の医療・介護体制全体に波及する可能性もありますね。

内部告発が明らかにした介護業界の闇

介護保険制度の抱える構造的問題

介護保険制度は、高齢者の増加に伴う介護ニーズの高まりに対応するため2000年に導入されました。しかし、制度の複雑さやチェック体制の甘さなどから、不正請求の温床になっているという説も。

例えば訪問看護なんかだと、プライベートな空間なんで実際にどのようなサービスが提供されたかを第三者が確認することは難しいでしょう。また、利用者やその家族も専門的な知識がないため、サービス内容が適切かどうかを判断しにくい。

このような状況が、一部の事業者による不正請求を可能にしているわけです。

人手不足と利益追求のジレンマ

そもそも国全体、特に介護業界が深刻な人手不足に悩まされている中、サンウェルズのような専門性の高いサービスを提供する事業者は、より大きな課題を抱えています。パーキンソン病のような難病に対応できる人材を確保し、育成することは簡単じゃない。

さらに、介護事業は利益率が低いことでも知られています。人件費や設備投資にお金がかかる割に生産できるものは無く、報酬は利用者からの支払いと税金。こんな状況下だから、不正な手段で利益を確保しようとする誘惑に駆られてしまうのかもしれません。

でも、そんなのもちろん許されることではない。むしろ、このような問題が起きるたび業界全体の信頼が損なわれ、マジメにやってる多くの事業者や職員たちにも悪影響が及んでしまいます。

今後の展開と私たちにできること

行政の対応と監査体制の強化

今回のサンウェルズの問題を受けて、行政側も動き出しています。厚労省は同社に対する立ち入り調査を行うとともに、全国の自治体に対して同様の不正がないか調査を指示しました。また、介護保険制度の監査体制を強化する方針も示されています。

結局、人間なんて状況によって悪いことを考えてしまう生き物。なので、今後も行政が不正請求を防ぐためのシステムを作ることが一番効果的な対策かと思います。

利用者と家族の意識向上

ただ、我々一人ひとりにもできることがあります。介護サービスを利用する側として提供されるサービスの内容をしっかりと確認し、疑問に思うことがあれば遠慮なく質問すること。

さらに、勉強して介護保険制度についての基本的な知識を持つことで、不適切なサービスに気づきやすくなります。バカだと騙されてしまうのが、この世の中。

もちろん、すべての介護事業者が不正を行っているわけではないし、むしろ大多数の事業者や職員さんたちは、利用者さんのために日々マジメに働いているはず。そのようなマジメな事業者を応援し、良質なサービスを広めていくことも、我々にできる重要な役割です。

介護の未来を考える

サンウェルズの問題は、単なる一企業の不祥事ではありません。この国が目指すべき介護の在り方について、改めて考える機会だと考えられます。

超超高齢化が進む日本において、質の高い介護サービスの存在は不可欠。しかし、今の制度では介護職員の待遇改善やサービスの質の向上に限界があることも事実です。一人ひとりが当事者意識を持って考えていかなければならない問題がたくさんあります。

サンウェルズの内部告発問題は、介護業界の闇を露呈しました。この問題を通じ、目指すべき介護の姿について社会全体で考え、実行していく必要があるでしょう。いよいよ今年2025年は、600万人近い団塊世代が後期高齢者に突入します。

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