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モルモン教、米ミシガン州におけるポジション|銃撃放火事件とその背景

モルモン教、米ミシガン州におけるポジション|銃撃放火事件とその背景

モルモンつったらユタのイメージですよね。もともとはアメリカ東部で迫害を受けていたモルモン(正式には末日聖徒イエス・キリスト教会という)教徒たちが、19世紀中ごろに西部のユタ地域へと集団で移住したことがユタ州のはじまりなんで。

その後、彼らは異教徒に邪魔されず信仰を守りながら、ソルトレイクシティはじめ他の都市をゼロから建設。長い時間をかけて多くの信者が国内外から移住し続け、ユタ州の人口の約6割は今でもモルモン教徒とされています。

そんなんだからミシガンで事件が起きたと聞いて「ん?」と思ったわけです。ただ冷静に考えるとモルモンはユタだけに住んでるわけじゃないし、少数派だからミシガンで起きたのかな、なんて。というわけで調べてみた。

ミシガンと言えば、モータータウンのデトロイトがあり、モータウンレーベルやデトロイトテクノ発祥の地であり、エミネムの活動拠点でもあります。

モルモン教の、ミシガン州での存在

ミシガン州でのモルモン教の歴史

モルモン教は1830年にジョセフ・スミスによってアメリカで創設され、ミシガン州では1876年にウィリアム・パーマーという宣教師が布教活動を開始、徐々に広がり始めました。

ミシガン湖に浮かぶビーバー島ではモルモン教分派が教会本部を作り、道路やインフラを整えたりと島の近代化に貢献したと言われています。

教会・神殿の存在

デトロイトには大きなモルモン教の神殿(デトロイト神殿)が建てられています。また州内には複数の集会所や支部があり、定期的に礼拝が行われています。

他の宗教との関係

ミシガン州のモルモン教会は他の宗教団体とも対話を重ねており、デトロイトではイスラム教やカトリック教会などさまざまな宗派の人たちと交流するイベントも開催されています。なので、基本的には仲良くやっていたようなんですが。

モルモン教はキリスト教?他宗派との違いは?

モルモン教はキリスト教?

モルモン教は自らをキリスト教の一派として位置づけ、聖書も重要な聖典の一つとはみなしています。ただ他の伝統的なキリスト教(カトリック、プロテスタント、正教会)とは異なり、イエス・キリストの教えに加えてモルモン書など独自の聖典を持っていることが特徴。

神の理解の違い

伝統的なキリスト教では、神は霊であり、永遠で全能の存在とされています。一方、モルモン教では神はかつて人間であったとされ、天で昇栄(進化)して神になったと教えています。さらに神は父のみならず、祖父や曽祖父などの先祖が無限に存在すると考えています。

仏になった(悟りを開いた)ブッダみたい。

イエス・キリストの位置づけ

伝統的キリスト教はイエスを「神と人の完全な一体」とみなし、三位一体の神の一つとしています。モルモン教では、イエスは「天の父」と「天の母」の霊の子として生まれた存在であり、進化した兄弟であると教えます。

またイエスとサタンも兄弟とされ、聖書の教えとは異なっています。このあたり、ちゃんと勉強しないと正直わかんない。

聖書と追加の聖典

伝統的なキリスト教は聖書を唯一の完結した神の言葉と信じていますが、モルモン教は聖書と並んで「モルモン書」や「教義と聖約」などの追加の教典を神の言葉として重視しています。これにより、神の啓示は聖書だけでなく現在も続いていると考えています。

救いの教えの違い

伝統的なキリスト教は、イエス・キリストの十字架による贖いを信じる信仰が救いの中心。一方モルモン教は救いにはキリストの信仰だけでなく、教会の戒律の遵守や神殿での儀式への参加も必要と教えています。

他のキリスト教宗派との主な違い

項目伝統的キリスト教モルモン教
神の本質永遠の霊、一体の三位一体昇栄した人間、複数の神が存在
イエス・キリスト完全な神と人の一体天の父と天の母の霊の子、サタンの兄弟
聖書の位置づけ唯一の神の言葉聖書+モルモン書など複数の聖典
救いの方法信仰のみによる贖い信仰+戒律の遵守+神殿儀式
教義の根幹三位一体、唯一の神三位一体の否定、進化する神

こんな感じで、伝統的なキリスト教からは異端とも見なされることがありますが、モルモン教徒は自分たちをキリスト教の正統な一派と考えているようです。イエス・キリストへの信仰を中心に据えつつも、多くの独自教義を持つ宗教と言えましょう。

モルモン教で禁じられていること

モルモン教では、厳格な規律を守ることが求められています。例えばアルコールやタバコは一切禁止。カフェインの摂取も制限されています。ギャンブルや不道徳な行動、暴力も絶対禁止です。

性的な行為に関しても厳しいルールがあり、婚前交渉や浮気は厳しく戒められています。犯罪は当然許されません。なんかアメリカ発祥のくせに、いい社会って感じ

健康や倫理面での禁止事項

モルモン教会は「ワード・オブ・ウィズダム」と呼ばれる教義に従い、健康に悪いとされる飲食物は禁止としています。普通にマクドナルドもあるんですけどね。

もちろん、嘘や誹謗中傷、暴力なども認められていません。信者は、自己管理と倫理的な行動に格別注意を払っています。そのため、教会内でも規律を守る姿勢が高く評価されます。

社会との関係と規範意識

信者は、地域社会でのマナーやルールについても意識し、コミュニティ内で信頼される存在になることが目標です。就職先でもモルモン教徒の評価が高めである理由の一つは、倫理観の高さにあるそうです。

今回の銃撃放火事件とモルモン教の関係

事件の概要

2025年8月28日、ミシガン州グランドブランにある末日聖徒イエス・キリスト教会、通称モルモン教の教会で、礼拝中に銃乱射事件が発生しました。

容疑者は40歳の男性トーマス・ジェイコブ・サンフォードで、教会の正面に車で突っ込み、その後教会内に向けて銃を乱射。さらに教会に火を放ち、建物は大火災に包まれます。事件で少なくとも2人が死亡し、8人が負傷。

容疑者は現場で警察に射殺されました。「犯人が可哀想」「命を何だと思っている」といった役所への誹謗中傷や罵倒の電話があったかどうかはわかりません。

モルモン教と事件の関係

事件が発生した場所はモルモン教の教会ですが、警察や当局は、銃撃事件の動機や宗教との直接的な関係についてはまだ明らかにしていません。

事件の前日には教会の代表にあたる大管長ラッセル・ネルソン氏が亡くなったことが発表されていましたが、この死と事件の関連性についても確認されていません。

社会的背景

今回の事件はアメリカで起きる教会を狙った銃撃や暴力事件の一つとして報じられ、トランプ大統領は「国家的な暴力の流行の一部」として懸念を表明。特にキリスト教徒への攻撃として警戒を呼びかけています。

事件はモルモン教の教会で起きたものの、現時点で宗教的な動機や信仰団体としてのモルモン教との直接的な関係は不明。事件の背景や動機についてはさらに調査が続いています。

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