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チェジュ航空の事故で注目「LCCは本当に危ないのか?」その安全性を調べた

2024年12月30日

チェジュ航空の事故で注目「LCCは本当に危ないのか?」その安全性を調べた

ご承知の通り、統計的に見て世界で事故の確率が最も低い乗り物は飛行機です(実は新幹線が1964年の開業以来「死亡事故ゼロ」を維持しているんですが、日本と台湾でしか使われていないんで除外)。

80歳まで毎日飛行機に乗ったとしても、事故率はわずか0.02%。ただし、あくまで確率の話であり遭ってしまう人はいるわけで、それはもう宿命というほかありません。

韓国南西部の務安(ムアン)国際空港で発生したチェジュ航空の事故は、死者179人という韓国史上最悪の航空事故となりました。このニュースで「LCC(格安航空会社)はやはり危険なのか?」と疑問を持った人に向け、LCCの安全性やリスクについて調べてみました。

チェジュ航空とは?その基本情報

まず、チェジュ航空について。チェジュ航空(Jeju Air)は、韓国初のLCC(格安航空会社)として2005年に設立されました。本社は韓国の済州島にあり、国内外の多くの路線を運航しています。アウトレイジ最終章に出てきた、あのチェジュ島のチェジュです。

主にボーイング737型機を使用し、低価格での航空サービスを提供することで知られています。

  • 設立年:2005年
  • 本社所在地:韓国・済州島
  • 主な機材:ボーイング737-800
  • 特徴:低価格運賃、短距離路線中心

チェジュ航空は、韓国国内だけでなく、日本や東南アジアなどの国際路線も展開しており、観光客やビジネス客に人気の航空会社です。これまで大きな事故もなくやってきましたが、今回の事故で安全性に疑問を抱く声が出始めました。

今回のチェジュ航空の事故概要

2024年12月29日、チェジュ航空の7C2216便(ボーイング737-800型機)がタイのバンコクから韓国の務安空港に向かう途中、着陸に失敗。事故の主なポイントは以下の通りです。

  • 搭乗者数:乗客175人、乗員6人の計181人
  • 死者数:179人(乗客全員と乗員4人)
  • 生存者:乗員2人(客室乗務員)
  • 事故原因:ランディングギア(車輪)の不具合による胴体着陸、滑走路外壁への衝突、火災発生

事故原因としては、バードストライク(鳥との衝突)が指摘されています。これにより油圧系統が損傷し、車輪が正常に作動しなかった可能性が高いとされています。

LCCは本当に危険なのか?安全性は?

LCCは本当に危険なのか?

「LCCは危ない」というイメージを持つ人は少なくありませんが、当たり前だけどLCCだからといって必ずしも危険というわけではありません。事故れば信用は失墜しますし、何より社員だって普通に死にたくないでしょう。

LCCの特徴

LCCは、低価格運賃を実現するために、以下のような運営方針を採用しています。

  • 運航コストの削減:機内サービスの簡略化、座席数の増加、短距離路線の集中運航
  • 機材の効率的運用:同一機材を多く使用し、整備や運航の効率を向上
  • 追加料金の導入:荷物や座席指定などのオプションを有料化

つまり、コストを切り詰めるなら安全以外のところなんです。

LCCの安全性はどうなのか?

航空業界では、LCCもフルサービスキャリア(FSC)も同じ安全基準を満たす必要があります。国際民間航空機関(ICAO)や各国の航空当局が定める厳しい基準をクリアしなければ運航できません。

ただし、LCCには以下のようなリスク要因が指摘されてはいます。

  • 整備の頻度:コスト削減のため、整備スケジュールがタイトになる場合がある?
  • パイロットの経験:若手パイロットが多い場合、緊急時の対応力に差が出る可能性
  • 運航スケジュールの過密化:短時間での離着陸が続くと、疲労やミスが増えるリスク

今回のチェジュ航空の事故でも、機体の整備状況やパイロットの対応が調査の焦点となっています。いやまずは原因の調査が先ですけど。

チェジュ航空の過去の事故

チェジュ航空の過去の事故

チェジュ航空は、これまで大規模な事故を起こしたことはありませんでした。しかし、過去には以下のようなトラブルが報告されています。

  • 2022年:関西空港でエンジン故障により緊急整備
  • 2023年:ランディングギアの不具合で緊急着陸

これらの事例から、チェジュ航空の整備体制や安全管理に対する懸念が一部で指摘されていました。ただし、このような事故というかこれより大きな事故は世界中で起きています。

2020年

  • パキスタン国際航空機墜落事故(98人死亡)
  • ペガサス航空2193便がイスタンブールで着陸失敗(3人死亡)
  • エア・インディア・エクスプレス1344便事故

2021年

  • スリウィジャヤ航空182便墜落事故(62人全員死亡)
  • ユナイテッド航空328便エンジン事故(死者なし)
  • トランスエア810便事故(死者なし)

これらのうち、ペガサスとエア・インディア・エクスプレス以外は、LCCではないです。

バードストライクのリスクと対策

今回の事故原因として挙げられているバードストライクは、航空業界全体での課題です。バードストライクとは、飛行中の航空機が鳥と衝突する現象を指します。これにより、エンジンや油圧系統が損傷し、重大な事故につながることがあります。

バードストライクの発生状況

  • 年間発生件数:世界中で数千件
  • 主な影響:エンジン停止、ランディングギアの不具合、機体損傷

バードストライクは、特に離着陸時に発生しやすく、空港周辺の環境が大きく影響します。

対策は進んでいるのか?

航空業界では、バードストライクを防ぐための対策が進められています。

  • 空港周辺の環境整備:鳥が集まりやすい水辺やゴミ捨て場の管理
  • レーダー技術の導入:鳥の動きを監視し、航空機に警告を発するシステム
  • 航空機の設計改良:エンジンや機体の耐久性を向上

しかし完全に防ぐことは難しく、今回のような事故が発生するリスクはゼロにはなりません。もちろん、LCCだから鳥がぶつかりやすいなんてことにもなりません。

結論、LCCの安全性は?

結局、LCCだから危ないなんてデータはありませんでした。怖ければ高い飛行機に乗ればいいですが、確率は一緒ってことですね。また、ファーストクラスだけ頑丈に作られているなんてことも無いでしょう。

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