第二次世界大戦中、ドイツのナチは多くの先進的な兵器を開発していました。高性能な地対空ミサイル、ヴァッサーファル。世界初の実用ジェット戦闘機、メッサーシュミット。そしてV2ロケットに続く報復兵器の一つであった、V3。
メルセデスベンツ、ポルシェ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンとドイツの自動車メーカーを並べてわかるとおり、ドイツってひと昔前は世界有数の工業国だったわけです。
しかし時は流れ、現在世界の工場としての地位を確立し、EVやロボット産業などグローバルな製造業の中心となっているのが中国。その中国発の人工知能「DeepSeek」のV3が2024年末に公開され、話題になっています。
ChatGPTに匹敵する性能を持ちながら、なんと無料で使えるというのです。しかも、日本語にも対応しているらしい。
無料のくせに、その性能はChatGPTを上回るかもしれないとも言われているDeepSeek。このDeepSeekについて、他のAIとの違いなどを調べてみました。あくまでAIビギナーを対象にまとめています。
★ もくじ
DeepSeekって何?
中国のスタートアップが作った最新AI
DeepSeekは、中国のAIスタートアップ企業「DeepSeek」が開発した最新の人工知能です。2024年末にリリースされたばかりの「DeepSeek V3」は、大規模言語モデル(LLM)の世界で噂になっています。
何と言ってもその魅力は、無料で使えるということ。有料のChatGPT Plusと同等、あるいはそれ以上の性能を持つと言われているのに、お金がかからないんです。正直、生成AIは無料で使えてやっとGoogleの対抗馬になると思っていたので、これでかなり近づいたかと。
その規模も驚異的で、約6710億のパラメータ数を持ち学習データは約14.8兆トークン。これは、FacebookのMetaが開発した「Llama 3.1 405B」の約1.6倍です。
日本語でも使える?実際に試してみた
英語や中国語の見た目におびえている人も多いかもしれませんが、DeepSeekは日本語にもちゃんと対応しています。日本語での質問にも日本語で答えてくれます。ペラペラです。ご安心ください。
さらに面白いのは「DeepThink」モード。このモードをオンにすれば、かなり深い洞察できちんとした回答をしてくれます。
東大入試も解ける?DeepSeekの実力
数学や英語の問題でChatGPTを上回る
DeepSeekの実力を試すため、東京大学の2024年度入試問題を使ったテストが行われました。その結果、DeepSeekはChatGPTよりも高い正答率を示したそうです。特に数学の問題では、論理的な思考力と計算能力において圧倒的に優れていることがわかりました。
具体的には、ChatGPTが理解できなかった数学の問題も、DeepSeekは正しく解くことができたんです。これは、DeepSeekが数学的な推論や計算に特化しているからかもしれません。
英語の問題でも、DeepSeekはより自然で人間らしい文章を作成できたそうです。これは、英語の文章生成能力が高いということですね。
これ、そろそろ数学界のミレニアム懸賞問題であるヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題、リーマン予想、P≠NP予想、ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ、ホッジ予想、ポアンカレ予想、バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想、といった難問が解けるんじゃ…。
プログラミングでも高い能力を発揮
DeepSeekは、プログラミングの分野でも高い能力を持っています。人気のプログラミング競技プラットフォーム「Codeforces」上でのコンテスト課題で高いスコアを記録したそうです。
また、「Aider Polyglot」というコード統合に関するテストでは、既存のモデルと比較してDeepSeekが抜きんでた成果を示しているとのこと。
7つの機能、DeepSeekの特徴とは
1. 多言語対応:日本語もOK
DeepSeekの大きな特徴の一つが、多言語対応。中国語や英語はもちろん、日本語にも対応しています。日本語で質問すれば日本語で答えてくれるので、英語が苦手な人でも安心して使えます。
まあ、基本的に生成AIはほとんど多言語対応ですが。UIにはまだ改善の余地があるっぽいですね。
2. 無料で高性能:ChatGPTに匹敵?
DeepSeekの最大の魅力は、高性能なのに無料で使えること。ChatGPT Plusと同等、あるいはそれ以上の性能を持つと言われているのに、お金がかかりません。
これは新たな選択肢として注目されています。学生さんや、AIに興味があるニートにとっては、すごくありがたい存在です。特に、有料版を使ってるのにハルシネーションを起こされると「ムキーッ」となりますし。
3. 数学・推論能力が高い
DeepSeekは、特に数学や推論能力が高いと言われています。東大の入試問題を解くテストでも、その能力の高さが証明されました。
複雑な数式や論理的思考を要する問題も、スムーズに解けるようです。これは、数学や科学の勉強をしている人にとっては、とても心強い味方になります。わからないところも丁寧に教えてくれるので、マジで教師は要らないです。理不尽に怒ったりもしないし。
たぶん中途半端なコンサルタントもいなくなる。
4. プログラミングが得意
DeepSeekは、プログラミングの分野でも高い能力を発揮します。コードの生成や修正が得意で、プログラミングコンテストでも高いスコアを記録しています。
プログラマーの皆さんにとっては、コーディングの助けになるかもしれません。難しいアルゴリズムの実装や、バグの修正などにも役立ちそうです。
5. 翻訳能力が高い
DeepSeekの翻訳能力も、かなり高いレベルにあります。英語の記事を日本語に翻訳させたところ、ChatGPT-4oと同レベルの邦訳文を出力したそうです。
これは海外の情報をチェックしたい人にとって、すごく便利な機能。ただし、専門的な翻訳や法的文書などには、やはり人間の翻訳者の確認が必要かもしれませんが。
6. 文章作成能力も高い
DeepSeekは、エッセイやメール文など、さまざまな種類の文章を作成する能力も持っています。自然で人間らしい文章は、Claudeに匹敵します。
レポートや論文の下書き、ブログ記事のアイデア出しなど、幅広い用途に使えそう。他のものと同様、やはり最終的な推敲や確認は人間が行う必要がありますけど。
7. オープンライセンスで公開
DeepSeekは、オープンライセンスで公開されています。これは、多くの開発者が自由にダウンロードして研究・改変・商用利用できるということ。
AIの研究者や開発者にとっては超魅力的。これにより、DeepSeekを基にした新しいAIアプリケーションが生まれる可能性もありますので。
DeepSeekの日本語での使い方
簡単!登録から使用までの流れ
DeepSeekにアクセスしてGoogleIDでサインインすれば、すぐに始められます。スマホアプリもあります。
外観は、ChatGPTにそっくり。入力欄に「Web Search」と「DeepThink」という2つのオプションがあるので、リアルタイム検索をしたい時は「Web Search」を、数学や推論の問題を解きたい時は「DeepThink」をクリックします。
あとは、質問やプロンプトを日本語で入力するだけ。すると、日本語で回答が返ってきます。使った履歴は残りますが、タイトルが中国語で表示されるのが苦笑い。
セキュリティと利用規約
懸念点としては、利用規約が英語のみであることや、情報が少ないことが挙げられています。また個人情報や機密情報を入力しないよう、十分注意する必要があるでしょう。マネタイズをどうするのかも気になります。
それでも、問題のないレベルで試してみようと思います。新しい技術を体験できる貴重な機会ですから。