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《8時だョ!全員集合》その視聴率と、笑いを生んだハプニング

「8時だョ!全員集合」は、1969年から1985年までTBSで放送されていた、ザ・ドリフターズのコント番組。

その特別番組が、令和6年9月16日午後6時半から令和によみがえります。この番組は「今夜復活!8時だョ!全員集合 不適切だけど笑っちゃう! ドリフ伝説コントBEST20」と題され、3時間半にわたって放送されます。

生の舞台として、さらにそれが生放送番組として渋谷公会堂や日本青年館で行われていたので、ハプニングは付きものでした。

この記事では、改めて「8時だョ!全員集合」と今後、日本史の教科書にも載るとウワサのザ・ドリフターズについて簡潔にまとめてみます。

約半世紀前、ザ・ドリフターズは仮面ライダーやゴレンジャーと並び子どもたちのスーパーヒーローでした。

昭和を代表するコントグループ「ザ・ドリフターズ」

メンバーと結成の経緯

もとになったグループは、1956年に結成された「サンズ・オブ・ドリフターズ」というロカビリーバンド。その後、1962年に当時のリーダーだった桜井輝夫氏(現在消息不明)が、コミカルな路線を強化するために「いかりや長介」を別のバンドから引き抜きました。そのとき2人が顔合わせをしたという新宿の鰻屋「登亭」は、なんと令和の現在も営業しています。

1965年に、現在多くの人々が知るザ・ドリフターズの形が整いました。主要メンバーは以下の通り:

  • いかりや長介(リーダー、ベース、2004年逝去)
  • 加藤茶(ドラムス、ボーカル)
  • 高木ブー(ギター)
  • 仲本工事(ギター、ボーカル、2022年逝去)
  • 荒井注(オルガン、2000年逝去)

後に荒井注が脱退、志村けんが加入しました。

純粋な音楽バンドとして出発したドリフターズでしたが、いかりや長介がリーダーになってから、コミックバンドの様相に変化しました。

土曜夜の伝説《8時だョ!全員集合》

毎週土曜日の夜8時に放送。ザ・ドリフターズは、この番組で国民的人気を獲得しました。最高視聴率は50%を超え、年間平均でも31.2%を記録してライバル番組を圧倒。また、当時の子どもたちの間で番組内のギャグやコントが大流行しました。

著名なフレーズ

  • ちょっとだけヨ
  • オイッス!
  • カラスの勝手でしょ〜
  • 最初はグー
  • 志村、後ろ!

視聴者を魅了した名物コーナーと、その音楽

ヒゲダンス

志村けん&加藤茶が演じる「ヒゲダンス」は、番組を代表する人気コーナーの一つ。2人がちょび髭をつけチャップリンのようにサイレントでパフォーマンスを行うこのコーナーは、活動時期は意外に短かったにもかかわらず多くの視聴者に愛され、今でも語り継がれています。曲はTeddy Pendergrassの「Do Me」。

早口言葉

ドリフのメンバーに加え、ゲストも混じえながら行う「早口言葉」のコーナーも、番組の代表的な人気企画でした。曲はウィルソン・ピケットの「Don't Knock My Love」ですが、たぶんマーヴィン・ゲイ&ダイアナ・ロスがカバーしたヴァージョンの方が近いかと思われます。

以上からわかるとおり、志村けん氏はかなりのR&Bやソウルミュージックのフリークであり、東村山一丁目のネタもジェームス・ブラウンのスタイルを真似たものだそうです。

ハプニングが生んだ名場面3選

火事事件(1977年)

探検隊のコントの最中、ピストルの火花が小道具の蛇に引火して燃え出してしまいました。会場内に非常ベルが鳴り響き一時的に騒然となりましたが、スタッフが迅速に消火活動を行なって事態は収束しました。メンバーもアドリブで対応し、無事にコントを続けることができました。

3人のドリフターズ(1981年)

仲本工事と志村けんが事情により番組を休み、約1か月間を残りの3人(いかりや長介、加藤茶、高木ブー)で進行しました。この期間中、長さんが点呼を取る場面で「番号!」と叫ぶと、加藤茶が「1!」と答え、高木ブーが2と3を飛ばして「4!」と答えるというギャグで笑いを取っていました。この変則的な状況でも視聴率は毎回40%を超えました。

停電事件(1985年)

生放送開始直前に会場の入間市市民会館が突然停電に。会場内の照明が消え、真っ暗な中で懐中電灯を使ってゲストを紹介する事態となりました。

この予期せぬ事態にもかかわらず、番組は放送を続行。ザ・ドリフターズのメンバーたちは、この状況をも笑いに変えようと奮闘しました。

《8時だョ!全員集合》が残した笑いの遺産

現代のお笑い番組への影響

『全員集合』の特徴は、生放送形式で行われる公開収録。この形式は、例えば『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』や『アメトーーク!』など、観客の前で収録し視聴者との距離感を縮める効果を生んでいます。

また、お笑いには漫才、落語、ものまね、大喜利などさまざまなスタイルがありますが、コントという形式が人気を博したのはドリフターズの影響が大きいです。

さらに当時の売れっ子アイドルや演歌歌手など、笑いを本職にしていない多くのゲスト出演者がコントに参加しました。この多彩なゲストとお笑い芸人とのコラボレーション形式は『しゃべくり007』や『バズリズム』『踊る!さんま御殿!!』など数多くの番組において見ることができます。

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いかりや長介の名ゼリフ「だめだこりゃ」は漫才における「もうええわ」や「ええ加減にせぇ」同様、締めの言葉となっていて『細かすぎて』の落下と同じ意味合いがあり、独自のオチとして機能しています。

なお、2024年はザ・ドリフターズ結成60周年。

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