ドラマ「若草物語」が原作のタイトルだけを借用し、中身が全然違うものを制作してブーイングを浴びました。そして2025年3月13日放送予定のドラマ「わが家は楽し」も過去に同タイトルの作品があるんですよ。
それは、1951年の日本映画。ただし、こちらは「我が家は楽し」と漢字表記なわけで、あくまでも別作品ですよというアピールがなされています。
たぶん「若草物語」のような文学作品と違って、1951年の映画はリアルタイムで観ていた人はほとんど亡くなっていると思われ、文句言う人もあまりいないんじゃないかと。
★ もくじ
新旧「わが家は楽し」のキャスト
2025年版の主要キャスト
小日向文世:主人公、平山幸之助
平山幸之助は、長年勤めた会社を定年退職した後、妻の史枝(戸田恵子)とともに穏やかな余生を送ることを楽しみにしていました。しかし妻が「ブックカフェを開業したい」という夢を持っていることが明らかになり、退職金の使い道をめぐって夫婦間で対立が生じます。
戸田恵子:主人公の妻、史枝
夫の幸之助に対してカフェを開業したいと告げ、それがきっかけとなり家族を巻き込んだ問題に発展していきます。
高橋海人(King & Prince):大学生の長男、和夫
和夫は自身の将来について悩みを抱えている大学生。両親の離婚問題に直面し、彼女の吉岡美鈴に相談します。
桜井ユキ:税理士をしている長女、遥
濱口遥は主人公・平山幸之助の長女で、税理士として働いています。既に結婚して実家を離れていますが、両親の離婚問題に心を痛めており、夫の雄太とともに両親の関係修復のため働きかけます。
山田杏奈:和夫の彼女、美鈴
定年退職した幸之助と妻の史枝の間で起こる離婚問題の騒動に、長男の彼女として巻き込まれます。
えなりかずき:夫婦の長女である濱口遥の夫
妻の遥とともに、義理の両親である幸之助と史枝の関係修復のために奔走します。ちなみに、えなりかずきさんの漢字表記は「江成和己」です。
1951年、映画版のキャスト
1951年に公開された映画「我が家は樂し」は、当時の日本を代表する俳優陣が集結した作品でした。主演の笠智衆さんをはじめ、山田五十鈴さん、高峰秀子さんといった錚々たる顔ぶれで、岸惠子さんのデビュー作でもありました。
笠智衆さんと言えば、黒澤明監督の「生きる」や「七人の侍」でも知られる名優。山田五十鈴さんは松竹の看板女優として活躍していました。高峰秀子さんは「二十四の瞳」で知られる国民的女優。そんな大物たちの中に、新人の岸惠子さんが加わったわけです。
日本で初めてテレビ放送が開始されたのは1953年であり、この映画が公開された時この国の家の中にはテレビがありませんでした。
笠智衆:父、植村孝作
勤続25年の万年課長で、忘れ物が多い父親。「万年課長」という言葉、昭和の終身雇用って感じですね。
山田五十鈴:母、植村なみ子
孝作の妻で、結婚25年。内職をして家計を支え、四人の子女を持ちながら乏しい中でも明るい家庭を営んでいます。
高峰秀子:孝作の長女、植村朋子
朋子は、母親の理解と支援を得て絵画を学んでいます。意気込んで描いた絵が展覧会で落選するという挫折を経験しますが、家族が立ち退きの危機に直面した際、朋子が描いた隣家の庭の絵がそこの主人の目に留まり、それが縁となって立ち退き問題が解決するという重要な役割も果たします。
岸恵子:次女、信子
孝作の次女、18歳。岸恵子さんのデビュー作です。
岡本克政:植村和男
孝作の長男、小学生。
福井和子:植村光子
孝作の三女。
佐田啓二:内田三郎
朋子の恋人で、胸を病んで入院中。
新旧「わが家は楽し」のあらすじ比較
2025年版:現代の家族が直面する課題
定年退職した平山幸之助は、穏やかな余生を楽しみにしていました。しかし、専業主婦の史枝には「ブックカフェを開業したい」という密かな夢が…。史枝が幸之助の退職金を使ってカフェを始めたいと提案したことで、夫婦間に大きな対立が生じます。
この対立は次第にエスカレートし、家族全体を巻き込む離婚問題にまで発展。同居する大学生の長男・和夫は、自身の将来に悩みながらも両親の離婚話にどう関わるべきか戸惑い、彼女の吉岡美鈴(山田杏奈)に相談します。
一方、実家を離れて暮らす長女で税理士の濱口遥は、夫の雄太とともに両親の関係修復に奔走。物語は、家族全員が幸之助と史枝の行く末を心配する中で予期せぬ出来事が起こり、さらなる展開を見せていきます。
1951年版:戦後の貧しくも温かい家族の物語
戦後間もない日本。主人公の植村孝作は、妻のなみ子と4人の子どもたちと、貧しいながらも明るく楽しい家庭生活を送っています。
ある日、孝作は会社から勤続25年の表彰を受けて特別賞与をもらいました。しかし、その賞与をすられてしまいます。でも、なみ子は子どもたちにその事実を隠し、メルカリで自分の衣類を売って家計を支えます。
長女の朋子は絵を学んでいますが、コンクールで落選。そんな中、さらに家主からは立ち退きを迫られるという事態に。しかし朋子の絵が思わぬところで評価され、立ち退き問題も解決。
最後には、朋子の描いた母の肖像画が展覧会に入選するという、ハッピーエンドを迎えます。
つまり2025年のドラマと1951年の映画は、タイトルがほとんど同じというだけで「家族の話」という共通点しかないのでした。