ここ10年くらいで年末を感じる話題といえば、M-1グランプリの勝者、世田谷一家殺人事件の続報、そしてTBS系で放送されるテレビ番組「プロ野球戦力外通告」。
困難に立ち向かうアスリートの人生を応援しているようにも見えますが、つまずいた者をさらしているようにも見えます。プロアスリートを夢見る子どもには残酷なので18禁にすべきかも。本気で目指している子はテレビなんか見ていないでしょうけど。
そして、今年取り上げられた選手の1人が元巨人の菊田拡和選手。彼の2軍成績は、戦力外になるほどのものだったのでしょうか?この記事では、菊田選手の成績や戦力外の理由を解剖します。
★ もくじ
菊田拡和とは?「常総のバレンティン」と呼ばれた逸材
彼は茨城県の名門、常総学院高校の出身で高校通算58本塁打を記録したスラッガーです。その豪快な打撃スタイルから「常総のバレンティン」と呼ばれ、2019年のドラフト3位で読売ジャイアンツ(巨人)に入団しました。
入団当初から「ポスト岡本和真」として期待され、将来の4番候補と目されていました。しかしプロの世界は実に厳しく、5年目となる2024年に戦力外通告を受けることになります。
ここで、バレンティンて誰?岡本和真て誰?という疑問がわく方もいらっしゃるかもしれません。
ウラディミール・バレンティンは2011年に東京ヤクルトスワローズに加入し、2013年にはシーズン60本塁打を記録、49年ぶりに日本プロ野球の年間ホームラン記録を更新した選手です。その年は打率.330、60本塁打、131打点と驚異的な成績を残しています。
一方、岡本和真選手は2014年のドラフトで読売ジャイアンツに入団、22歳だった2018年に打率.309、33本塁打、100打点を記録し、プロ野球史上最年少で「3割30本100打点」を達成するという快挙を成し遂げた男です。
ともに入団後、数年の試行錯誤を経てから記録達成に至っているわけで、最初からそんな人たちと並べられ「〇〇の〇〇」という変なキャッチフレーズを勝手に付けられた菊田選手、切なすぎます。これはもう、彼が受けた戦力外通知は世間のせいだとも言えるのではないか。
菊田拡和の2軍成績を振り返る
というわけで、菊田選手の2軍での成績を見てみましょう。彼のプロ生活を数字で振り返ると、期待と現実のギャップが浮き彫りになります。
2023年の成績
- 試合数:103試合
- 打率:.257
- 本塁打:7本
- 打点:32
まあ2軍の中では平均的と言えますが、長打力を期待されていた選手としては物足りない数字です。特に、7本塁打というのは「パワーヒッター」としての期待に応えられたとは言いがたい。
2024年の成績
- 試合数:17試合(3軍)
- 打率:.186
2024年は腰のヘルニアの影響で出遅れ、3軍での調整が続きました。復帰後も調子が上がらず、2軍での出場機会すら限られてしまいました。このような状況では、1軍での活躍を期待するのは難しく、戦力外通告もやむを得ません。
戦力外の理由は成績だけではない?
菊田選手が戦力外となった理由は、単に成績だけではない可能性があります。プロ野球の世界では、選手の評価は成績だけでなくチームの編成方針やポジションの競争状況にも大きく左右されますんで。場所が変わってはじける人も少なくないでしょ。
巨人の編成事情
巨人は近年、若手選手の育成に力を入れており、特に外野手や内野手の競争が激化しています。菊田選手が主に守るサードは、同世代や若手の有望株が台頭しており、競争に勝つのが難しい状況でした。ただ彼はファーストや外野手もできるんですけど。
守備力の課題
菊田選手は打撃が売りの選手ですが、守備力には課題があるとされていました。プロ野球では、守備力も重要な評価ポイントの一つです。特に巨人のようなチームでは、守備力が安定していない選手が1軍で起用されるのは難しいと言えます。
ちなみにメジャーでは両リーグともにDH制を採用していますが、日本のセ・リーグは頑としてDH制を拒んでいます。
ファンの声:「戦力外は厳しすぎる?」
菊田選手の戦力外通告に対して、ファンからはさまざまな意見が寄せられています。
- 「まだ若いのに、もう少しチャンスを与えてほしかった」
- 「2軍ではそこそこ結果を出していたのに、戦力外は厳しい」
- 「守備力や怪我の影響を考えると仕方ないのかも」
特に、23歳という若さでの戦力外通告に驚く声が多く見られました。一方で、プロの世界の厳しさを理解し、納得する意見も少なくありません。
プロの野球って球団運営側にとって投資ですもんね。リターンが無きゃ損切りですもんね。
菊田拡和の今後は?
菊田選手は戦力外通告を受けた後も、現役続行を希望しています。自宅の庭に100万円かけて練習場を作り、家族とともに再起を目指してトレーニングを続けているそうです。
また、12球団合同トライアウトにも参加し、再びプロの舞台に立つための挑戦を続けています。彼のように若い選手であれば、独立リーグや海外リーグで経験を積み、再びNPBに復帰する可能性も十分にありますね。
まとめ:菊田拡和は戦力外になるほどの成績だった?
結論として、菊田選手の戦力外通告は成績だけでなく、怪我やチーム事情、守備力の課題など複数の要因が絡んでいると考えられます。2軍での成績は決して悪くはありませんが、期待された「ポスト岡本和真」としての結果を残せなかったことが大きな理由でしょう。
そもそも、日本は一般企業においても人材教育への投資をケチる傾向にあります。GDPに占める企業の能力開発費の割合が、日本は0.1%。他の先進国の1%以上と比べて10倍以上の開きがあり、突出して低い状況です。
企業でこれなんで、プロスポーツは言わずもがなって感じなんですよね。