
「あとでみる」に入れて、まだ観ていないのになんですが、先日の酒のツマミになる話で“カップラーメンが一番美味しい瞬間は?”というテーマが議論になったようです。個人的に言わせてもらうと、それは山を登りきった後の山頂で食べるラーメン。これ。
ちなむと、山頂ではぬるいビールも美味いです。本当です。
ただ、それも無事な下山がかなったから言えることでして、その味は山にある低体温症や滑落やクマの出現や道に迷ったり落雷にあったり、などの危険をかいくぐった者だけが到達できる境地なのです。
★ もくじ
越中美津雄さんが体験した、北アルプス・槍ヶ岳で起きたカミナリ事故
概要
事故が起きた場所は、登山者に人気の北アルプス・槍ヶ岳周辺。自分も登りましたが、雨にも降られ確か登りだけで7時間くらいかかった気が。
2012年、越中美津雄さんは9人の仲間とともに表銀座コース経由で槍ヶ岳を目指していました。猛ダッシュで山小屋を目指しているとき、突如として雷雨が発生。もう少しで安全圏という地点で落雷に遭遇します。
意識を失い、気づいたときには全身がしびれ、雷に打たれた事実もすぐには呑み込めなかったそうです。
事故当日の気象と、彼らの行動
登山は計画通りに進んでいましたが、山の天気は予測不能。2日目の午前11時過ぎ、晴れていた空が一転し遠くでゴロゴロと雷鳴が。登山歴も長く冷静だった越中美津雄さんですが「山小屋までもう少し」と判断、避難せずに突き進むことを選びました。
直後の開けた道に突入した瞬間に稲妻が走り、越中さんはダウン。雷に打たれるとき、音や衝撃よりも先に記憶が途切れる現象が起こるそうです。
打たれたのは越中さんだけでしたが、列を組んで歩いていた仲間たちにも青白い閃光や衝撃が走ったと後に語っています。すぐに仲間たちが簡易テント(ツエルト)で雨をしのぎ、救助要請。チームの迅速な行動が、さらなる二次災害を防ぎました。
医師が驚いた「生還率20%」の現場
現地スタッフの的確な判断と、県警ヘリによる早期搬送も大きな分岐点でした。県警ヘリ到着まで約2時間。
気が付くと、ヘリの機内には越中さん同様に雷が直撃した別の登山者も同乗していたそうです。しかしその方はその後亡くなってしまいました。後から、雷直撃による死亡率は80%、生存率は20%という現実を知ることになります。
入院後、医師からは「ザックや雨具がびしょ濡れだったことで電流が体外に流れて重症を免れた」と指摘されました。背中や腰にはヤケドや痺れが残ったものの、重い後遺症もなく社会復帰。越中さんは「強運だった」と複数メディアに語りました。
カミナリ事故を生き延びた越中さんのエピソード
2泊3日の山旅でまさかのアクシデント
9人のグループで挑んだ表銀座コースは、初心者向けとはいえ標高差や天候急変、体力の限界勝負。全員が大人、登山経験豊富という点も安心材料ではありました。
というわけでメンバーは「安全第一」で臨機応変に行動。慌てず騒がず、状況を見て適切に小屋と連絡を取り、全員で岩陰に身を寄せて二次被害を避けました。誰ひとりとしてパニックに陥らなかったことも大きな要因です。
カミナリ事故後のネットの反応
この事故は登山コミュニティやアウトドア好きたちが集うソーシャルメディアでも大きな話題となりました。
「表銀座コースで落雷なんて」「プロでも油断禁物」といった声や、「カミナリの季節はいつもより臆病でちょうどいい」「装備と天気のリスク管理がいかに大切か、痛感した」などさまざまな感想が投稿されています。
登山系の板でも「ザックが濡れているだけで助かるなんて」「救助までどんな心境だったのか」や「生還できてよかった」「同じ目に遭ったら自分は冷静でいられるか不安」など、登山者目線の切実な声が多いです。
落雷の危険と登山者への教訓
死亡率80%の雷直撃、生還できた5つの理由
- 濡れた装備のおかげで体外へ電流が逃げやすかった
- 即時の救助要請と仲間との連携
- 山小屋が近く動線も把握していた
- 低い姿勢で進んでいたため重篤な転倒を免れた
- 幸運にも崖から転落しなかった
医師の見解によれば、致命的になるかならないかは「どこから電流が入ってどこへ抜けるか」で大きく左右され、心臓を通ると助かる確率は極端に減ります。
越中さんはザックや装備品が濡れていたため、背中や脇腹のやけど程度で済みました。軽い麻痺感は残ったものの、後遺症もなく数日で退院。今もアウトドア活動は続けているそうです。
山のカミナリで慌てないための心得
- 天気予報は直前まで要確認、ただし山の天気は予報を超えて超絶変わりやすい
- 雷鳴が聞こえ始めたら避難第一、山小屋や安全な低地を確保する
- 山は逃げないので再度挑戦できる、危険を感じたら勇気を持って行動を中止する判断力を
- 経験者でも油断は大敵、大丈夫という楽観が一番危険
- 身体や装備が濡れた状態だと、落雷時の電流が体外に逃げやすいかも
子どもから大人まで、登山中に限らずレジャーやキャンプでも一緒。言い伝えをしっかり守り、いつでも安全第一で。そういえば、子どもを含む13人が亡くなった玄倉川水難事故、通称「DQNの川流れ」なんてのもありました。
山好きが肝に銘じておくこと
越中さんの落雷事故は、ただの不運みたいに感じがちですが、登山やアウトドアでは誰にでも起こりうる話。山好きに限らず、自然相手に遊ぶときは「自分だけは大丈夫」と思わず、一歩引いて冷静に周囲や空模様の変化に耳を傾けるクセをつけましょう。
登山者もレジャー派も、家族や仲間、大切な人を守るため覚えておきたい雷対策。自然は気まぐれですが、人の心がけひとつでリスクは減らせます。今日の青空も明日はカミナリに変わるかもしれません。どうか、しっかり備えて楽しいアウトドアライフを。