
今さらですが、アメフトはディフェンスも非常におもしろいです。QBサックなんて、応援してるチームが食らうとめっちゃ腹立つが、食らわせると実に興奮します。そして、そんな守備陣の中心的なポジションがラインバッカー(LB)。
LBはディフェンスラインとディフェンシブバックの間に位置し、ランプレーではランニングバックを止め、パスプレーではレシーバーをマークしてパスを阻止します。
守備の司令塔としてチーム全体を牽引する高い判断力やフィジカル能力、リーダーシップが求められる重要なポジションなのです。だから、そんなポジションの選手が「会ったこともない人に恋をする妄想彼女野郎」だとチームメイトも心配になるのです。
この記事では、アメリカンフットボール選手マンタイ・テオが架空の恋人に騙された、いわゆるキャットフィッシング「マンタイ・テオ架空恋人騒動」の全容と、彼のその後について調べてみました。
キャットフィッシングってのは、オンライン上で他人の情報や画像を利用して偽のプロフィールを作成、他人を騙す行為のこと。通常、ソーシャルメディアやマッチングアプリで行われ、ロマンチックな関係を築こうとしたり、相手から金を引き出そうとします。
★ もくじ
マンタイ・テオと架空恋人スキャンダルの全容
事件の背景
マンタイ・テオは、あのジョー・モンタナの出身校ノートルダム大学アメフト部のスター選手でした。NFLドラフト候補として注目されていた2012年、彼は祖母と恋人リネイ・ケクーアが同じ日に亡くなったという悲劇に見舞われます。
この出来事をきっかけに、彼は悲劇のヒーローとして全米の注目を集めました。
恋人の正体
しかし、後にリネイ・ケクーアという人物が架空の存在だったことが判明。この「恋人」は、ロナイア・トゥイアソソポ(後にナヤと改名)という男子大学生が作り上げたものでした。
彼はヒマだったのか、勉強もせずにFacebookで架空の女性のアカウントを作り、写真を盗用してテオと遠距離恋愛を演じます。電話ではボイスチェンジャーを使い高い声で話していたため、テオは疑うことなく信じていました。
悪趣味なことに、騙されている人を見るのが楽しかったのでしょうか。
事態の発覚
ロナイアが「リネイが亡くなった」と偽った後、どうやって嗅ぎつけたのかメディアがこの悲劇的なストーリーを大々的に報じました。しかし、後に調査によってリネイが実在しないことが明らかになり、テオは一転して非難を浴びることになります。
「妄想彼女野郎」といったレッテルを貼られ、NFLドラフトでも評価が下がって2巡目指名となりました。おばあちゃんも泣いていたことでしょう。
その後
Netflixのドキュメンタリー『Untold: 架空の恋人』では、この事件について詳しく描かれています。テオ自身も出演し、当時の心境や真相について語りました。この作品は2022年に公開され、多くの視聴者に衝撃を与えました。
また、この事件を通じて「キャットフィッシング/Catfishing」(ネット上で他人になりすます行為)の危険性が広く認識されるようになりました。
テオ選手は単なる被害者だったのか
この事件が発覚した当初、多くの人がテオは単なる被害者だと考えました。しかし状況はそう単純ではなく、彼はケクアさんと電話で頻繁に話しており、実際に会ったという嘘もついていたといいます。
単なる被害者だったとしても、一度も会ったことのない架空の人物を恋人だと思い込んでいたという事実は、残念ながら当時の彼に対する評価を複雑にしました。
NFLでのマンタイ・テオの選手人生
ドラフト2巡目からスタートしたプロキャリア
マンタイ・テオ選手は、ちょっぴり恥ずかし架空恋人騒動のスキャンダルがあったにもかかわらず、2013年のNFLドラフトで2巡目全体38位でサンディエゴ・チャージャーズ(現在のLAチャージャーズ)に指名されました。大学時代の輝かしい実績がありましたから。
ただプロ入り後は必ずしも順調とはならず。2013年の新人シーズンは13試合に先発出場し、61タックルを記録。しかしQBサック(クォーターバックへのタックル)は0と、爆発的な活躍には至っていません。
翌2014年シーズンには足の骨折に苦しみながらも、10試合に出場。トム・ブレイディから初めてのインターセプト(パスカット)を記録し、49ersとの試合では初めてのサックも達成します。
サック数や派手なプレーは少なかったものの、リーディングタックラーとしてチームの守備を支える存在へと成長していきました。
三つのチームでの経歴とケガの影響
テオ選手のNFL経歴は、チャージャーズ(2013-2016)、ニューオーリンズ・セインツ(2017-2019)、シカゴ・ベアーズ(2020)の3つのチームに渡ります。
チャージャーズ時代は有望な若手として期待されましたが、ケガに悩まされる時期が多かった印象。特に2016年シーズンはチームのキャプテンに任命されながらも、アキレス腱の断裂によりシーズン序盤で長期離脱を強いられました。
2017年、テオ選手はニューオーリンズ・セインツと2年契約を締結。この年は16試合すべてに出場し、タックル・フォー・ロス(攻撃側の選手をライン・オブ・スクリメージの後方でタックルすること)でチームをリードする活躍を見せます。
しかし2018年シーズンは出場機会が減少し、わずか5試合の出場に留まりました。
2019年はリリースされた後、シーズン終盤に再びセインツに戻りましたが、出場は3試合のみ。2020年はシカゴ・ベアーズのプラクティススクワッド(練習生)として所属し、わずかな出場機会を得たのみでした。
そして2021年1月のプレーオフゲームを最後に、NFLのフィールドからは姿を消しています。
マンタイ・テオのNFL通算成績と収入
8年間のNFLキャリアでの実績
彼は通算62試合に出場、そのうち48試合に先発しました。記録したタックル数は合計307(ソロタックル212、アシストタックル95)、サック数は1.5、インターセプト(パスカット)は2回、パスディフェンス(守備でのパス阻止)は13回。
最も印象的な試合としては、2014年のニューイングランド・ペイトリオッツ戦でレジェンド、トム・ブレイディからとったインターセプト。あとは同年のサンフランシスコ・49ers戦でのコリン・キャパニック選手へのサックなど。
年度別の成績を見ると、2015年が最も充実したシーズンですかね。このシーズンには83タックル、0.5サック、1インターセプト、2パスディフェンス、1フォースファンブル(ファンブルを強制)を記録しています。
一方で、ケガに悩まされた2016年は3試合の出場にとどまり、17タックルという控えめな成績。2018年以降は出場機会が減少し、成績も伸び悩みました。
NFLで稼いだ総額
テオ選手のNFLでの総収入は、1049万3840ドル(約15億円以上)。キャリア平均年収(APY)は131万1730ドルでした。
チーム別で見ると、チャージャーズで517万2428ドル、セインツで518万9412ドル、ベアーズで13万2000ドルを稼いでいます。最終的に最も大きな単年収入は、2013年のルーキーイヤーに受け取った254万6768ドルでした。
マンタイ・テオのその後
架空恋人騒動から10年 - テオ選手の今
テオは2021年1月のシカゴ・ベアーズでのプレーオフ出場を最後に、NFLの公式戦からは退いています。
架空恋人騒動から10年以上が経過した現在、テオは公の場に姿を見せずひっそりと暮らしておりました。しかし、彼の物語がNetflixのドキュメンタリーシリーズ「UNTOLD: 架空の恋人」として取り上げられ、再び注目を集めました。
このドキュメンタリーでは、テオ自身が当時の心境や騒動の真相について語っています。
NFLでの8年間
大学時代のスター選手としての輝かしい実績と、架空恋人騒動というスキャンダルを背負ってプロの世界に飛び込んだ彼は、期待ほどの爆発的な活躍はできなかったものの通算1049万ドル以上を稼ぎ、NFL選手としては平均以上のキャリアを築いたと言えるでしょう。
多くの選手が、入団しても実際にフィールド上でプレーできなかったり、数年で引退を余儀なくされる中、8年間プレーし続けてきたことは十分に立派な功績です。私が偉そうに言うことではないですが。