
スカウトの世界を描いた2015年の映画「新宿スワン」。ウシジマくんと戌亥がヒデヨシとタツヒコになっているのを見て「人間って顔が同じでも中身次第でまるっきり別人になるんだなぁ…」と改めて驚いたことを、思い出します。
いわゆるスカウトって社交飲食店や性風俗店、AV出演などへ紹介するという、いわば人材派遣のグレー版なわけで、昔からヤクザが土木工事や荷役労働者などを仲介していたように反社の得意分野です。人間の値段ってお高いんですね。
ナチュラルグループとは何か|匿名・流動型スカウト集団の実像
ナチュラルグループとは
主に歌舞伎町などの繁華街で若い女性をスカウトし、風俗店に紹介して「スカウトバック」と呼ばれる紹介料を得てきた、日本最大級のスカウト組織。
2000年代半ばごろに立川周辺で生まれ、その後に歌舞伎町など都心の繁華街へ拠点を広げていったとされており、現在は全国の繁華街に少なくとも約1500人のメンバー、提携する風俗店はおよそ4000店舗に及ぶとみられています。
日本のコロナ騒ぎが開けた頃、2022年の1年間だけで44億5千万円以上の収入を得ていたそうな。
匿名・流動型スカウト集団という実像
警視庁や政府は、このような組織も匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)として警戒しています。
ってのも、ナチュラルもメンバーの入れ替わりが激しく、しかもお互いの本名や素性をあまり共有しないまま、ゆるくつながっているという。メンバー同士はニックネームで呼び合い、実名を教え合わないことも多いようで。
連絡や情報共有にはグループが独自に数千万円をかけて開発した秘匿性の高いスマートフォン用アプリが使われ、そこにマニュアルや求人情報、警察への対処法などが集約されていると報じられています。
スカウトとして街頭に立つ現場要員は短期間で辞めることも多く入れ替わりが激しいため、外側からは「常に顔ぶれが変わるゆるい集まり」に見えるところが警察捜査を難しくしてきたとのこと。狙い通りですね。
スカウトグループ、ナチュラルの組織図
大企業のようにしっかりした体系
一番上には会長がいて、そこからピラミッドのように階層が分かれています。会長は、今回逮捕された小畑寛昭。長い間トップとしてグループをまとめてきました。
現場のプレーヤー部門
現場で働く人たちはプレーヤーと呼ばれ、主に女性を探しスカウトして風俗店などに紹介。この部門は色でグループ分けされていて、それぞれが縦のラインで上から管理されます。
好成績をあげたり新しい仲間を連れてきたりすることで自分の位置が上がり、報酬も増える仕組み。
本社の運営部門
本社には、さまざまな課があって総勢100人くらいのスタッフが在中。例えば集金課は稼いだお金を集めたり、契約課は風俗店とのお契約を決めたりします。総務課や経理課なんかもあって、まあ普通に会社みたい。
アプリ課の役割
中でもアプリ課は、数千万円をかけ自分たちで「Chat alpha」という専用のアプリを作りました。このアプリはメンバー同士で連絡を取ったり、内部のマニュアルを共有したりするのに使用。もちろん情報が漏れたら高額の罰金を払うというルールも当たり前にあります。
ウイルス対策課とは
「ウイルス」とは警察のこと。私服の捜査員の特徴や顔写真をメンバー間で共有して、職務質問を避ける方法を教えます。警察はこういうのに簡単に振り回されてきたわけですね。
サポート課と管理職
サポート課は、路上で起きたトラブルを解決したり、メンバーを助けたりする役割を担っています。名前にちょっと笑ってしまいますね。そのほか執行役員や専務、本部長といった肩書もあって、給与や昇給のルールも細かく決まっています。
小畑寛昭容疑者について
基本プロフィール
ナチュラルのトップで会長を務めていた小畑寛昭容疑者は、1985年2月5日生まれ。筋肉質で、右肩から腕にかけて竜の刺青があるらしい。さまざまな偽名を使っていたとされ、住所は定まっておらず全国を動き回る生活を送っていたようです。
もちろん経歴などはわかっていませんが、可愛い小学生時代なんかもあったことでしょう。
容疑の内容
2023年7月頃、職業安定法に違反するスカウト行為を黙認してもらう代わりに、指定暴力団六代目山口組の二次団体の幹部に現金60万円をみかじめ料として支払ったとみられています。よくわかりませんが、この程度だとすぐ出てこられそうですよね。
逃亡の経緯
警視庁は2025年1月に逮捕状を取り、強制捜査を開始。しかし直前で姿をくらまし、約1年間にわたって逃亡を続けました。警察の元警部補である神保大輔被告が捜査情報をナチュラルのメンバーに漏らしていたという疑いもあります。さすが日本の警察です。
タイーホ
2026年1月21日、警視庁は彼を全国に公開指名手配。そこからわずか5日後の2026年1月26日、小畑容疑者は鹿児島県の奄美大島で逮捕されます。逮捕時には髪を伸ばし、メガネをかけた姿で屋内に隠れていました。
その後、自分が容疑者だとは認めましたが事件については「何も話しません」と黙秘。これまで裏社会で恐れられていた人物だけに、そりゃ簡単には口を割りません。警察さん大丈夫でしょうか。
スカウト行為は、どこから違法?
職業安定法
職業安定法の第63条第2号では、性風俗店やアダルトビデオの撮影など公衆衛生や公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介や労働者の募集をすると、1年から10年以下の懲役か20万円から300万円以下の罰金が科せられます。
実際に2022年、大阪市内でスカウト集団のトップの男ら7人が、女性を性風俗店に紹介したとしてこの法律のもと逮捕されました。要は紹介先がどこかってことが問題なんですね。
この法律は、路上だけでなくソーシャルメディアを使ったスカウトも対象にしており、有害かどうかは事件ごとに警察や裁判所が判断。吉成純輝弁護士は「職業安定法の方が迷惑防止条例より広く処罰できる」と説明しています。
迷惑防止条例
各都道府県の迷惑防止条例でも、繁華街などの公共の場所で風俗店やキャバクラ、AVへの勧誘を禁じています。例えば路上で女性につきまとい勧誘すると条例違反になり、警察のおとり捜査で現行犯逮捕されるケースが増えています。
改正風営法の新しい規制
さらに2025年6月に施行された改正風営法では、色恋営業の禁止や高額な売掛金トラブルへの対応としてホストクラブ、キャバレークラブ、ガールズバー、コンカフェ、メンズエステなど幅広い業態において規制が大幅に強化されました。
性風俗店がスカウトに支払うスカウトバックも、違法として規制されます。



