「きのこ」か「たけのこ」か「つぶあん」か「こしあん」か。「今、目の前にある幸せを最優先する」のか「子どもたちの未来のためにできることをする」のか。人はいつも2つの選択肢で迷います。
2025年1月20日、アメリカのトランプ大統領が就任直後にパリ協定からの脱退を表明しました。想定内のこととはいえ、ばくぜんとした不安に近いモヤモヤが出てきます。
いやでも、そもそもパリ協定って何なの?必要なの?どんな国が参加してるの?アメリカが抜けちゃったら、これからどうなっちゃうの?など、気になるポイントを調べてみました。
ところで、たけのこは成長すると竹になりますが、きのこが成長すると木になるのでしょうか。
★ もくじ
そもそも、パリ協定ってなんなんでしょう?
パリ協定は地球を守るための約束
パリ協定は、地球温暖化を防ぐために世界中の国が集まって作った決まりごとです。2015年12月、フランスのパリで開かれた会議で決まったので、「パリ協定」という名前がついています。
この約束では、世界の気温上昇を産業革命前と比べて2度未満に、できれば1.5度に抑えることを目指しています。産業革命といえば実に200年前。
なぜ、こんな約束が必要だったのでしょうか?それは、地球の温度が上がりすぎると、海面が上昇して島が沈んだり、異常気象が増えたりして、私たちの生活に大きな影響が出るからです。何より猛暑が何ヶ月も続くなんてイヤ過ぎます。
パリ協定は、世界中のほとんどの国が参加している点が特徴。以前、同様にあった地球温暖化防止のための「京都議定書」という約束では、先進国だけが対象でした。
しかしパリ協定では発展途上国も含めて、みんなで力を合わせて地球温暖化を防ごうということになりました。
参加国は159カ国以上、みんなでやろうぜ
パリ協定には159カ国以上が参加しています。これは、世界のほとんどの国が参加しているということです。アメリカや中国、インド、日本、ヨーロッパの国々など、二酸化炭素をたくさん出している国も含まれています。
参加している国は、5年ごとに目標を立てて、どれだけ二酸化炭素を減らすかを決定。そして、その目標に向かって邁進します。でも、目標を達成できなかったからといって罰があるわけではありません。
みんなで協力して、できる範囲で頑張ろうという感じなんです。ゆるゆるです。
アメリカがパリ協定から抜けちゃった、これからどうなる?
トランプ氏の決断、世界に衝撃
2025年1月20日、アメリカのドナルド・トランプ氏が大統領に就任。そして、就任直後にパリ協定から脱退すると発表しました。この発表に、世界中がなえました。
実はトランプ氏、前回の大統領時代の2017年にもパリ協定からの脱退を表明していて、2020年に正式に脱退しています。その後、バイデン氏が大統領になってパリ協定に復帰したのですが、今回また脱退することになったわけです。
トランプ氏がパリ協定から脱退したい理由は、アメリカの経済に悪影響があると考えているから。実際に、発電、運輸、鉄鋼、プラスチックや化学薬品や医薬品の精製、農業など、あらゆる産業で化石燃料を大量に使っています。
「Drill, Baby, Drill(掘りまくれ)」なんて言って、超あおっています。
世界最大の二酸化炭素排出国、中国の役割
世界第2位の二酸化炭素排出国であるアメリカが抜けてしまうと、パリ協定の効果は弱まってしまうでしょう。でも世界最大の二酸化炭素排出国である中国は、まだパリ協定に参加しています。
中国は、再生可能エネルギーの利用を増やすなど、二酸化炭素を減らす努力をしています。アメリカが抜けた分、中国の役割がより重要になってくるでしょう。まぁ、だからといってアメリカの排出量が増えるのはかなりイタいですが。
日本の取り組みは?
日本も、さりげなくパリ協定に参加しています。2030年までに、2013年と比べて温室効果ガスの排出量を46%削減するという目標を立てています。
日本は、省エネ技術や再生可能エネルギーの開発に力を入れています。例えば、太陽光パネルを家の屋根に付けたり、電気自動車を増やしたりする取り組みを進めています。
アメリカが抜けても、日本はこの目標に向かって走り続けると思われます。むしろ、日本の技術力を活かして世界のリーダーとしての役割を果たすチャンスかもしれません。
パリ協定、これからの展望は?
各国の努力が試される時
アメリカが抜けてしまったパリ協定ですが、他の国々は引き続き温暖化対策に取り組んでいきます。例えば、ヨーロッパ連合(EU)は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。
また、再生可能エネルギーの技術が進歩して、コストが下がってきています。太陽光パネルや風力発電の設備が、どんどん増えていくでしょう。
企業も、環境に優しい製品を作ったり、工場での二酸化炭素排出を減らしたりする努力をしています。例えば、電気自動車(EV)を作る会社が増えたり、プラスチックごみを減らす取り組みが広がったりしています。
放射性廃棄物を出さないと評判の、核融合エネルギーの開発も待たれます。
我々にできることは?
パリ協定は国と国との約束ですが、私たち一人一人にもできることがたくさんあります。
例えば、電気をこまめに消したり、エアコンの温度を適切に設定したりすることで、家庭での二酸化炭素排出を減らせます。また、買い物をするときは、環境に優しい商品を選んだり、使い捨ての物を避けたりすることも大切です。
都市部ならば、公共交通機関を使ったり自転車で移動したりして車の使用を減らすこともできます。食べ物を無駄にしないように気をつけたり、地元で取れた野菜や果物を選んだりするのも、いい方法です。
小さな行動の積み重ね、というか個人ができることなんかでは影響を与えることはできませんが、意識を変えることが大きな変化につながっていきます。
未来の子どもたちのために
パリ協定は、何より未来の子どもたちのために大切な約束です。先のない年寄りには関係ないと言われそうですが、未来人にとっては海面上昇で住む場所を失ったり異常気象で農作物が育たなくなったりと、非常に切ない状況におちいる可能性があります。
アメリカが脱退を表明したことは誠に遺憾ですが、そんなやつはほっといて、あきらめず世界中の国々が協力して温暖化対策を進めていくことが大切ですよ。