
「バチカン」って昭和の小学生の遊びにありそうな名前ですが、ちゃんと国です。独立した国家です。ただし、国民は全員が教会関係者、あるいはバチカンの業務に直接従事する者のみという変則的な国です。
面積は東京ディズニーランドと同じくらい。歩いて回れます。
2025年、史上初のアメリカ出身教皇としてレオ14世が誕生しました。アメリカはプロテスタント、特に福音派が主流な国なのでちょっぴり異色と言えましょう。
カトリックが多い国は、ヨーロッパではイタリア、スペイン、フランス。ほかにはブラジルをはじめとする中南米諸国、アジアではフィリピンが知られています。
★ もくじ
レオ14世はどの派閥?カトリック教会の主要潮流を図解
カトリックの修道会
第267代ローマ教皇レオ14世(本名:ロバート・フランシス・プレヴォスト)は、2025年5月8日に教皇に選出された人物。初のアメリカ出身で、ペルー国籍も持っています。
共同生活と布教を重視するアウグスチノ会に属しており、長年にわたりペルーやアメリカで活動してきました。
ちなみにカトリックの代表的な修道会には、祈りと労働を基本とするベネディクト会や、清貧と愛徳・宣教活動を重視するフランシスコ会、教育・宣教・知的活動に力を入れるイエズス会など多くの修道会があります。
レオ14世の立ち位置
レオ14世の思想的な立ち位置については「中道派」と評価されています。急進的な改革派でもなく、伝統的な保守派でもありません。どっちつかずというよりも、改革派と保守派の間でバランスをとる派です。教会内の分裂を避け、融和を目指すリーダーということ。
カトリック教会の主要潮流
カトリック教会は世界最大のキリスト教組織であり、信者は約13億人。組織はピラミッド型の階級構造で、頂点にローマ教皇が立っています。さらに、大きく分けて「保守派」と「改革派(進歩派)」、そしてその中間に位置し今回の教皇が属する「中道派」が存在。
保守派は伝統的な教義や儀式を重視し、教会の中央集権的な運営や厳格な規律を守ることを主張します。たとえば、女性の聖職叙階やLGBTQ+の受け入れなどには慎重な立場。いや慎重というか許さんというスタンスですね。
改革派(進歩派)は、時代の変化に合わせて教会のあり方や教義の解釈を柔軟にしようとするグループです。移民や貧困問題、環境問題への積極的な取り組み、女性や一般信徒の意見を教会運営に反映させることを重視しています。
中道派は、両者の主張のバランスを取りながら、教会の伝統と現代社会の要請の両方に配慮した運営を目指しています。レオ14世はこの中道派に分類され、教会の融和や安定を重視する立場です。
教会の意思決定と現代の課題
カトリック教会では、教皇を頂点とした階級組織が意思決定の中心となっていますが、近年は一般信徒や女性、LGBTQ+の人々の声を取り入れる動きも強まっているわけで。
これは前教皇フランシスコが積極的に進めてきた流れで、レオ14世もこの方向性を一定程度継承しています。
ただ、こうした改革的な動きには保守派からの反発もあって、教会内では意見の対立が継続中。レオ14世はその中で、調和を図る役割を期待されています。
シカゴからペルーへ、そして異色のキャリアパス
レオ14世の歩み
本名はロバート・フランシス・プレボストといい、1955年にアメリカはイリノイ州シカゴで生まれました。カトリックの家庭で育ち、若いころから神学や哲学を学んでいます。なぜか数学の学位なんかも取っています。1982年にカトリック司祭として叙階されました。
1955年生まれは、日本で言う新人類世代。ティーンエイジャーの頃にキッスのライブとか行ってたなんて逸話があれば面白いんですが。なおビル・ゲイツや麻原彰晃、さんまさんなんかも1955年生まれです。
そして1985年、宣教師として南米ペルーへ。そこで貧困層の人々のために長年にわたり活動し、2014年にはペルーのチクラーヨ教区の司教に就任。2015年にはペルー国籍も取得しました。
バチカンでの異色のキャリア
ペルーでの実績が評価され、2023年にはフランシスコ前教皇によって枢機卿に任命されます。その後バチカンの司教省長官という重要な役職も務め、カトリック教会の中枢で司教の選出などを担当しました。
レオ14世が受け継ぐもの、過去の教皇との関係性
フランシスコ教皇からの継承と革新
前教皇フランシスコから直接枢機卿に任命された経歴を持ちながら、独自の路線も模索。2024年の米国移民政策批判ツイートでは、政治的に中立な立場を維持しつつ人道的立場を明確にしました。
教皇名の由来となったレオ13世は、19世紀に労働者保護の教書を発表した人。このネーミングに、格差是正への強い意志を見出す専門家もいます。まずは戦争なんかを止められたらいいんですけど。