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山形県酒田市、消防団による放火事件|田賀一稀が火をつけたワケ

山形県酒田市、消防団による放火事件|田賀一稀が火をつけたワケ

消防団と言えば、駐車スペースになっている建物の1階で村の仲間が集まって酒を飲んでいるイメージしかないんです。結局、あの方々は何をする人なのでしょうか。彼らも火を消したりするんでしょうか。

余談ですが、映画「バックドラフト」で、火事後の検証をする現場でタバコに火を付けるリムゲイル調査官(デ・ニーロ)がカッコよかったことを思い出しました。クレーム大国である日本ならば確実に炎上案件ですね。

酒田市消防団放火事件とは

事件の概要

2024年春ごろから、山形県酒田市内で不審火が頻発。市内の空き家や会社事務所、公園施設など、主に人が住んでいない建物が狙われ、夜の街を不安にさせます。人がいない場所を狙う点は、あやうく外道中の良心と見えそうに。

警察は同一犯による放火の可能性が高いとみて捜査を進めます。その結果、酒田市消防団に所属する若い消防団員が容疑者として浮上し、逮捕。火事だけでなく、会社の資材置き場に忍び込みコンテナから工具を盗んだ窃盗の罪なども合わせて起訴されました。

発生した火災とその内容

酒田市内では2024年4月28日から5月10日までの間に、不審火が少なくとも6件発生。飲食店の車庫、解体中のアパート、会社の事務所、丸太が積んである場所、空き家に隣接する物置小屋などなど。

さらに5月30日の夜には「酒田市公園会館」の外壁の一部が焼かれました。

田賀一稀は、どんな人物?

逮捕された消防団員

放火容疑で逮捕されたのは、酒田市消防団第1分団の副分団長を務めていた田賀一稀(たが・かずき)。田賀は逮捕当時27歳で、酒田市北新町に住む会社員でもあり、地域では真面目で評判のよい青年として知られていました。

彼は2017年4月ごろに消防団に入団、訓練にも熱心に参加していたとのこと。そして2024年4月には、第一分団の副分団長に就任しています。家族構成や学生時代の様子、趣味など、プライベートな部分までは公には出ていません。

自分でつけた火を自分で消す男

一連の不審火の多くは、田賀の自宅から半径1キロ以内の範囲に集中して起きていました。そして、そのほとんどの現場で本人は消防団員として消火活動に参加していたそうで。近隣住民は不安を感じ、夜遅くまで電気をつけて起きている家庭もあったとか。

現場に真っ先に駆けつけていたのが、のちに放火容疑で逮捕されることになる消防団員だったという事実は、多くの人に衝撃を与えました。

なぜ火をつけたのか

放火の理由

田賀は放火などの罪で起訴され、山形地方裁判所鶴岡支部で裁判が行われました。初公判で被告は起訴内容を認め、一連の放火について自らの関与を認める姿勢を示します。

検察側は、勤務先の自動車整備会社で試用期間終了後にミスが続き、上司や同僚から叱責されていたこと、副分団長としての仕事にも強いストレスを感じていたことを指摘。

そのうえで、「ストレス解消のため」や「消防団員として活躍することで家族や同僚から評価されたい」という思いから犯行に及んだと主張しています。承認欲求というのは厄介なものですね。

判決

2025年1月、裁判所は田賀に対し懲役5年の実刑判決を宣告。判決では「消防団員は火災の危険性を人一倍理解している立場でありながら、ストレス発散のために放火した動機は極めて自己中心的で、強い非難が与えられるべきだ」と普通のことを言われました。

それはそれとして、組織内の人間のメンタルケアや、日頃の様子を把握する体制づくりの必要性もちゃんと指摘しないと。そこまで司法がやることじゃないと言えばそれまでですが。

消防団と消防署は、何が違う?

消防署は「本職」、消防団は「地域の非常勤公務員」

想像のとおり、制度としては役割も働き方もかなり違います。消防署で働くのは、自治体に常勤で雇われた消防吏員。いわゆる本職の消防士です。24時間体制で勤務し、消火活動だけでなく救急業務、火災予防の指導、建物の査察など、仕事は多岐にわたります。

一方で消防団は「非常勤特別職の地方公務員」であり、ふだんは会社員や自営業など別の仕事をしながら火災や災害時に招集される地域密着の組織。あくまで本業を持ちながら活動する「地域ボランティアに近い立場」と考えるとイメージしやすいかと。

つまりは、消防署だけでは回らない部分を消防団が支えていると言えますかね。酒飲んでるだけじゃありませんでした。

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