
「ストーカー」という言葉が世間で使われ始めたのは、1996年に産経ニュースが取り上げてからだそうです。96年と言ったら平成8年、朝ドラ「あんぱん」で嵩の母役である松嶋さんが、同じく朝ドラのヒロインだった頃。
この事件、ストーカー被害からネット中傷に至ったというから最近の話かと思ったんですが、高橋しげみ(髙橋美清)さんがお天気キャスターをされていた『おはよう天気』は、1988年から1991年までの放送。結構昔の人でした。
なのにストーカーが逮捕されたのは2015年。つまり、かなり長きにわたって苦悶の年月を送られたのです。そして、さらに彼女を苦しめたのがクソネット民。
★ もくじ
ストーカー事件の全容と発端
事件の発端 ― 仕事関係者からの悩み相談
高橋しげみ(現・髙橋美清)さんは1989年(平成元年)からテレビの競輪番組で司会をしていたのですが、仕事で関わりのあった男性から悩み相談を受けるようになりました。
最初は普通の相談でしたが、次第に男は「死にたい」などと頻繁に電話をかけてくるようになり、無下にできず対応していたところ連絡の回数や内容がどんどんエスカレート。
男は長文のメールを大量に送りつけたり、仕事先に中傷の電話をかけてくるようになりました。さらには家族に危害を加えることを示唆するメールも届くようになり、高橋さんは身の危険を感じるようになります。
メールは約300通、電話は約400回にも及んでいたそうな。
警察への相談と加害男性の逮捕
高橋さんはついに警察に被害を届け出て、KEIRINグランプリ優勝経験のあるトップ選手で通算獲得賞金11億円超の実力者、児玉広志は2015年にストーカー規制法違反の疑いで逮捕されました。
しかし、警察が公表した逮捕容疑は「メール3通と電話14件」だけで、実際の被害のごく一部。
この男は逮捕前、自身のブログに「高橋さんに2000万円をだまし取られた」というウソを書き込んでいました。このため、事件が報道されると「悪いのは女だ」という情報がネット上に拡散されバッシングが始まります。
そしてマスメディアが「被害者は群馬県在住の50代フリーアナウンサー」と報じたため、高橋さんが特定されてしまいました。
事件の加害者とその後
児玉選手の死と、さらなる中傷
逮捕から約1か月後、児玉選手が不慮の事故で亡くなります。実際には病死のようですが「事件を苦にした自殺ではないか」と憶測で報じられたことで「人殺し」だの「お前が死ね」だの、より激しいネット中傷が高橋さんに集中するようになりました。
仕事と生活への深刻な影響
2chやTwitterには高橋さんの顔写真や名前がさらされ「人殺し」「いつ死ぬんですか」などの誹謗中傷が毎日届くように。テレビ局にも抗議の電話が殺到し、30年続けてきたテレビの仕事も突然打ち切られてしまいました。
今以上に、この手の事案について警察が無能だった時代ですね。
僧侶としての新生と現在
仏門への転身
全ての仕事を失い自殺未遂まで追い詰められた高橋さんは、その後、実家が寺院だった縁から天台宗の僧侶に。群馬県伊勢崎市に「心月院尋清寺」を建立し、中傷被害者の相談窓口を開設しています。地図見ると、ほぼ埼玉との県境。
ちなみにですが、自分はヤフコメやYouTubeのコメ欄は非表示にしているし、Xも見ません。関係なくても見るだけでストレスになるので。
現代社会へのメッセージ
「誹謗中傷は加害者に代償を払わせるべき」と主張する髙橋住職。自身の体験を基にした講演活動や相談支援を通じ、ネットリテラシーの向上を訴え続けています。
現在では中傷被害者の駆け込み寺として、年間300件以上の相談に対応している模様です。ほぼ毎日じゃねえか。
寺院での活動
- 誹謗中傷対策ワークショップの定期開催
- ネット被害専門の法律相談窓口設置
- 心のケアを目的とした座禅会の主催
これらを通じ、現代社会の闇と正面から向き合っています。