何か他人に対してどうしても自慢したい知識があるとき、相手にそれをただ話したところで「ウンチクとか鬱陶しいな、だからどうした?」と思われがちですが、これをクイズ形式にすると、とたんに盛り上がることがよくあります。
クイズって、雨が降っていても骨折していても、渋滞に巻き込まれている最中でも楽しめる。
そんな、クイズに関わることで生活費を稼いでいるという「楽しいから始まる学び」をコンセプトにした東大発の知識集団、クイズノックが、教育版アプリをリリースしたというニュースが話題になっています。
このグループ、いつからあるの?普段どんな活動をしているんだろう?
今回は、クイズノックの誕生から現在までの歩みと、彼らの活動内容について調べてみました。東大発の知識集団が、なぜこれほど人気を集めているのでしょうか。
★ もくじ
クイズノックの誕生:東大生たちの挑戦
2016年、伊沢拓司から始まった物語
クイズノックの始まりは、2016年8月。当時東京大学に在学中だった伊沢拓司さんが、キュレーションメディアやクイズ業界の問題
- 医療系の粗雑な知識やフェイクニュースがネット上に蔓延していたこと
- クイズの地位が低く、知識豊富な東大生がクイズ作成の現場で低賃金で働いていること
- 従来のクイズ番組では、クイズ王になるまでの努力過程が見えづらく、学歴や偏差値が正解の根拠として使われる傾向があること
といったことに意識を持ったことがきっかけでした。
そして伊沢さんは、クイズを通じて楽しく学べる新しいメディアを作ろうと決意。そして、約2か月後の10月2日、東京大学クイズ研究会の仲間たちと一緒に、ウェブメディア「QuizKnock」を立ち上げました。
このとき伊沢さんたちが掲げたコンセプトが「楽しいから始まる学び」でした。身の回りのあらゆることをクイズで理解する。そんな新しい学びの形を提案したのです。
YouTubeチャンネル開設で広がる活動の場
ウェブメディアとしてスタートしたクイズノックですが、翌年の2017年4月16日には大きな転機が訪れます。メンバーの一人、ふくらP(髙山拳さん)の提案でYouTubeチャンネルを開設したのです。
このチャンネルでは、クイズノックのメンバーたちがクイズや謎解き、実験などを行う動画を投稿し始めました。これが大きな反響を呼び、クイズノックの知名度を一気に高めることになります。
急成長するクイズノック:法人化と新たな挑戦
2019年、株式会社QuizKnockの設立
クイズノックの人気が高まるにつれ、より大きな活動を展開するための体制づくりが必要になってきました。そこで2019年4月1日、伊沢さんをCEO(最高経営責任者)として株式会社QuizKnockが設立されます。
この法人化により、クイズノックの活動はさらに多岐にわたるようになりました。YouTubeでの動画配信だけでなく、書籍の出版や他社とのコラボレーション、クイズ問題の提供など、幅広い分野で「楽しく学ぶ」コンテンツを生み出していきます。
100万人突破、そして200万人へ
法人化の年である2019年11月24日、クイズノックのYouTubeチャンネル登録者数が100万人を突破。設立からわずか3年ほどで、これだけの人気を集めたのです。100万人といえば「フワちゃんTV/FUWACHAN TV」レベルの人気です。
さらに2023年3月10日には、メインチャンネルの登録者数が200万人を突破しました。「フワちゃんTV/FUWACHAN TV」を超えました。クイズノックというグループの魅力はもちろんのこと、潜在的なクイズ好きがいっぱいいたんだろう、と思われます。
クイズノックの多彩な活動: 学びを楽しくする工夫
YouTubeチャンネルの多様化
クイズノックは、メインチャンネル以外にもいくつかのチャンネルを運営しています。
2018年1月12日には「QuizKnock会議中【サブチャンネル】」を開設。さらに2021年には「QuizKnockと学ぼう」「GameKnock【QuizKnockゲームチャンネル】」という新チャンネルも立ち上げました。
これらのチャンネルでは、それぞれ異なる切り口で「楽しく学ぶ」コンテンツを提供しています。クイズや学習、ゲームなど、視聴者の興味に合わせて選べるようになっているのです。
テレビ出演やコラボレーション
クイズノックのメンバーは、テレビ番組にも多数出演しています。特に伊沢拓司さんは、クイズ番組「東大王」に出演、「東大最強の知識王」と呼ばれるほどの活躍を見せました。
また、アニメ「ぼくたちは勉強ができない」の問題監修や、セガとのコラボカフェの開催、さらには人気ゲーム「レイトン教授」シリーズの最新作の謎解き問題開発への参加など、さまざまな分野でその知識と創造力を発揮しています。
アプリ開発にも進出
クイズノックは、デジタルコンテンツの開発にも力を入れています。2019年には「限界しりとり」や「QuizKnock」(iOS版のみ)といったアプリをリリースしました。
そして最近では、運営会社・batonが開発した人気アプリ「限界しりとりMobile」を教育版としてリニューアル。完全無料で楽しみながら、語彙力を高められるアプリとして注目を集めています。
クイズノックの魅力:人気の理由
東大生たちの親しみやすさ
クイズノックの大きな魅力の一つは、メンバーたちの親しみやすさ。東京大学の学生や卒業生たちが中心となっているにもかかわらず、決して高圧的ではありません。周りのほとんどが自分たちよりバカなはずなのに、マウントを取ったりしません。
むしろ失敗したときのリアクションや、時にはドジな一面を見せることで視聴者に親近感を抱かせています。
例えば伊沢さんが「12時間クイズ」企画で8時間近く続いている出演者に「質問は?」と聞いてしまったエピソードや、ひっかけクイズで最初のひっかけにかかってしまう場面など、彼らの人間味あふれる姿が多くの人の心を掴んでいるのです。
こういうお茶目な一面は、これまでの積み重ねが生んだ自信のなせる技ですね。
学びを楽しくする工夫
クイズノックの最大の特徴は、「楽しく学ぶ」というコンセプトを徹底していること。単に知識を詰め込むのではなく、クイズや謎解き、実験などを通じて楽しみながら新しい知識を得られるよう工夫しています。
例えば、YouTubeの動画では毎回「今日の一問」というコーナーがあり、視聴者も一緒にクイズに挑戦できます。また、インサイダーゲームや言葉のリズムゲームなど、バラエティに富んだ企画で飽きさせない工夫も凝らしています。
こういう授業だったら、学校もテストも楽しいんでしょうけどね。
幅広い年齢層に対応
クイズノックの活動は、子どもから大人まで幅広い年齢層に支持されています。YouTubeチャンネルの内容は、小学生でも楽しめるものから、大人でも頭を悩ませるような難問まで、あらゆるレベルのクイズや企画が用意されています。
また、最近リリースされた教育版アプリ「限界しりとりMobile」のように、楽しみながら学習できるコンテンツを提供することで、教育分野でも注目を集めています。
クイズノックは2016年の設立から現在までの活動で、単なるウェブメディアから200万人以上のファンを持つ一大コンテンツ制作集団へと成長しました。その秘訣は「楽しく学ぶ」という理念をいろいろな形で実現し続けていることにあります。
クイズノックの中心メンバーたち
河村拓哉(かわむらたくや):クイズノックの立役者
河村拓哉さんは1993年12月20日生まれ、栃木県の出身。東大クイズ研究会に所属し、クイズノック立ち上げ当初は主にウェブメディア上の記事の執筆や編集作業を担当していました。
須貝駿貴(すがいしゅんき):ナイスガイの愛称を持つクイズ王
須貝駿貴さんは1991年5月12日生まれ、京都府舞鶴市出身です。東京大学教養学部を卒業しており、高校時代は野球部に所属していたという意外な一面も持っています。
ふくらP(たかやまけん):クイズ作家として活躍
ふくらP(髙山拳、旧姓:福良)さんは1993年8月7日生まれで、香川県出身です。当初はライターとして関わっていましたが、後に東京工業大学を中退し、クイズ作家として活動するようになりました。元乃木坂の人気メンバー、かずみんの夫さんです。
山本祥彰(やまもとよしあき)クイズノックの「漢字王」
山本祥彰さんは1996年6月1日生まれ、埼玉県出身。高校時代には「全国高等学校クイズ選手権」で総合4位に入賞した実力の持ち主です。