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「花のれん」ドラマのモデルは、吉本せい|吉本興業の創業者

「花のれん」ドラマのモデルは、吉本せい|吉本興業の創業者

綿密な取材と社会問題への深い洞察が特徴である山崎豊子氏の作品は、14作品がドラマ化され、9作品が映画化されています。ネットもAIも無い時代の取材って、図書館とかで資料をあさったりしていたのでしょうか。想像しただけでクラクラします。

山崎豊子生誕100年を記念して制作されたテレビ朝日ドラマプレミアム「花のれん」。山崎氏は1924年生まれなので、2025年は生誕101年ですよね。制作時点が100年ということでしょうか。

まぁそんなことはともかく、この作品は吉本興業の創業者である吉本せいさんをモデルにした物語。主演は北川さんですが、他に誰が出ているのか、朝ドラ「わろてんか」とは何が違うのか。そんな疑問を調べてみました。

主人公、河島多加は吉本せいさんがモデル

吉本興業とは

言うまでもなく、日本在住の人間なら誰もが知っている吉本興業は、1912年創業という長い歴史を持つ大手エンターテインメント企業。

現在は吉本興業ホールディングス株式会社として、マネジメント、プロモーション、テレビ・ラジオ番組製作、演芸興行などを行う企業グループの持株会社となっています。

ダウンタウン、千鳥、チョコプラ、令和ロマンなど約6,000名以上のタレントを抱え、お笑い芸人を中心に、スポーツ選手、俳優、文化人、ミュージシャン、ダンサーなど多岐にわたる人材のマネジメントを行っています。

また、ライブイベントの制作、テレビ番組の制作(年間約5,000本)、映画や配信動画の制作など、幅広いエンターテインメント事業を展開。日本全国47都道府県から海外まで事業を拡大しています。

ただ、近年では労働問題や所属タレントとの契約問題など、いくつかの課題も指摘されていますが。

寄席経営のきっかけは夫への一言

河島多加の寄席経営のきっかけは、夫の吉三郎の遊び好きな性格と経営の失敗にあります。吉三郎は花街や寄席通いに明け暮れ、呉服店の経営を傾かせてしまいました。

窮地に立たされた多加は、夫の道楽を逆手に取り「そないに寄席や芸事が好きやったら、いっそのこと寄席でも商売にしはったらどうだす」と提案。

この言葉に触発された吉三郎は、明治44年7月初め、34歳の時に天満・大阪天満宮の裏手にあった寄席を買い取り、天満亭と名付けました。これが、日本を代表する芸能事務所の誕生につながります。そのとき多加はなんと25歳。

冷やし飴から始まった商売の拡大

その後2人は工夫を凝らし、木戸銭を一流の寄席の半額の5銭に設定したり、多加のアイデアで店先で氷の上でゴロゴロと転がして冷やした冷やし飴を売ったりして、徐々に人気を得ていきました。

開業当初は苦戦を強いられ、素人の落語家やモノマネ、女講談師、音曲、剣舞、軽口などの興行を行っていました。借金はかさんでいましたが、多加のアイデアと吉三郎の芸人選びの才能により、次第に客が増え、連日大入りを記録するように。

そして夫婦は、2軒目の寄席小屋を開業するまでに至りました。

「花のれん」と「わろてんか」、似て非なる2つのドラマ

時代設定の違いが生む物語の味わい

「花のれん」と2017年度後期の朝ドラ「わろてんか」は、どちらも吉本せいさんをモデルにしていますが、その描き方には違いがあります。

「わろてんか」が明治から昭和初期を舞台にしているのに対し、「花のれん」は明治から戦後まで。ちょっと長い時間軸で物語が展開します。

この時代設定の違いにより「わろてんか」では藤岡てんの奔放な性格や寄席文化の黎明期の様子が描かれ、「花のれん」では河島多加の人生を通じて、寄席文化の変遷や戦争の影響など、より幅広い社会背景が描かれています。

主人公の性格づけの違い

「わろてんか」の藤岡てんが、明るく前向きで時に突飛な行動を取る人物として描かれているのに対し、「花のれん」の河島多加は、より現実的で冷静な判断力を持つ人物として描かれています。

同じモデルを基にしながらも、それぞれのドラマが焦点を当てたい部分の違いですね。

ドラマのキャスト

主要キャスト

河島多加(北川景子)

主演で、稀代の女性興行師。モデルは吉本興業創業者の吉本せい。

吉三郎(伊藤英明)

河島多加の、破天荒というか遊び人な夫。モデルは創業者の一人である吉本吉兵衛ですが、キャラは創作っぽい。

伊藤友衛(上川隆也)

多加が恋心を抱く紳士。モデルはおらず、オリジナルの役みたいです。

久男(坂東龍汰)

多加の息子。母に対して複雑な思いを抱える息子を演じます。こちらもモデルはいません。吉本せいさんには10人の子どもがいましたが、その多くが早世、成人したのは4人のみでした。

長男も早くに亡くなっていたため、実質的な跡取り息子として次男の吉本穎右が期待されていましたが、穎右も1947年に24歳の若さで亡くなっています。次男の彼女は笠置シヅ子さんです。こちらも朝ドラになっていましたね。

その他の出演者

ガマ口/がまぐち(甲本雅裕)。

もともと寄席に出演する剣舞師でしたが、多加夫婦が寄席を開く際に裏方に回り、吉三郎亡き後は番頭として多加を生涯支える右腕となります。剣舞とは、刀を持って吟詠(ぎんえい、詩吟のこと)に合わせて舞う日本の伝統芸能。

石川きん(泉ピン子)

多加を見込んで金を融通する人物。ピン子さんは、この役について「原作や脚本に役どころがあまり深く描かれていない」と述べており、自ら想像を膨らませて細かい設定を考えたそうです。

桂 春団治(玉山鉄二)

"爆笑王"の異名を持つ人気落語家の春団治は、実在した人物。破天荘な言動で数々の伝説を残した人物として描かれています。

お梅(馬場園梓)

河島家のお手伝いとして多加と息子の久男に尽くします。

おしの(渋谷凪咲)

吉三郎の愛人となる芸者見習い。吉三郎は、おしのと床入りの最中に心臓麻痺で亡くなってしまい、これが多加の人生に大きな転機をもたらすことになります。

金沢亭の席主(笹野高史)

多加が法善寺にある一流の寄席小屋を入手した際に「えらい女(おなご)の大阪商人や」と舌を巻く席主として登場します。

孫一(吹越満)

多加の実父。

杉田(金山一彦)

多加と夫の吉三郎が開いた2軒目の寄席 "芦辺館" で支配人を任される人物。

松鶴(月亭方正)

多加の寄席に波乱をもたらす人気落語家。

エンタツ・アチャコ(ミルクボーイ)

しゃべくり漫才の元祖と言われる伝説のコンビです。ミルクボーイのコーンフレーク型でない漫才が見られるかも。

織京/おりきょう(本多力)

京都にある織元の主人。

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