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秋葉原耳かき店員殺人事件|犯人の実像、裁判員裁判初の死刑求刑

秋葉原耳かき店員殺人事件|犯人の実像、裁判員裁判初の死刑求刑

台湾や中国には、真っ当な耳かき店が結構あると聞きました。ツボとか鍼(はり)とか、マッサージ文化の華やかなアジアにおいては耳をほじられるのも瞑想的な仏教的な、そんな何かなのかもしれません。

ただそれが、秋葉原で若い女の子に膝枕をしてもらいながらするサービス、となると途端に気味悪いものになります。こんな不気味な商売が成立する国は他にありません。

で、その人気耳かき店員とストーカー客の衝撃的な事件は、2009年に起きました。

秋葉原耳かき店員殺人事件、加害者の実像

秋葉原耳かき店員殺人事件、加害者の実像

林貢二の生い立ち

加害者の林は、28歳のときに実家を出て千葉市内で一人暮らしを始めます。年齢的にちょっと遅い気もしますが、まあその程度ならいっぱいいるでしょう。

専門学校を卒業した後は電気設備関係の会社に就職、これまで大きな問題を起こすこともなく真面目に働いています。酒も飲まず、職場の飲み会でも静かに烏龍茶を飲むようなタイプ。社内での信頼も厚く、設計主任としてチームの責任者も務めていたそうです。

ただ、こういう人はこういう人で怖いんですね。噴火を待っている火山みたいに地下でマグマがぐつぐつ沸騰し始めてるというか。

ストーカー行為に至るまでの経緯

林の人生が大きく変わったのは、2008年2月頃にネットで耳かき専門店の存在を知ったことがきっかけ。興味を持った彼は秋葉原の「山本耳かき店」に予約を入れ、初めて担当したのが被害者のまりなさん。店で一番の人気嬢でした。

林は次第にまりなさんを指名して通うようになり、最終的には少なくとも200万円以上を店で使ったそうな。地道に貯めた軍資金があったため闇金などには手を出していません。

しかし彼はまりなさんに対して一方的に恋愛感情を抱くようになり、やがて店外での交際を求めるようになりました。当然、まりなさんは仕事上はっきり断り、店長にも相談して林を出禁に。

それでも林は諦めず、店の前で待ち伏せなどを始めます。まりなさんは警察にも「客の男に付きまとわれている」と相談しましたが、被害届は出さず警察もそれ以上の対応はしていません。

この手のストーカー殺人で、これまで何度も繰り返されてきた警察のパターンです。

秋葉原耳かき店員殺人事件の当日

秋葉原耳かき店員殺人事件の当日

周到な準備と凶行の瞬間

2009年8月3日早朝、林は果物ナイフ・包丁・ハンマーを用意して被害者の自宅へ。玄関で応対したまりなさんの祖母を1階で刺し、その後2階に逃げたまりなさんを襲撃。近隣住民の通報で、血だらけの現場に警察官が駆けつけました。

犯行に至った心理的要因

林は2008年から被害者まりなさんの働く店に通い続け、特別な関係を妄想していました。そこまでなら単なる「フラレた男」なんですけど、店から出入り禁止にされたことで愛情が憎悪に変化した模様。結果、無関係な祖母まで巻き込んでしまいます。

歪んだ愛情の形

犯行直前までは、表面上の良好な関係を維持していたように見え、周囲も危険性に気づきませんでした。しかし実際には「相手を不幸にすることで自分を慰める」という心理状態に陥っていたのでありまして。

裁判では20年間真面目に働いてきた経歴が、なぜか情状酌量の理由となりましたが、この事件は「見かけの平静さの裏に潜む危険性」を社会に突きつけた結果となります。

裁判員裁判で浮き彫りになった事実

死刑求刑から無期懲役判決へ

2010年の裁判員裁判では検察が永山基準を引用し死刑を求刑。しかし裁判官団は「祖母への殺害に計画性なし」と判断し、無期懲役判決を言い渡しました。被害者遺族は判決を不服としつつも、検察が控訴しなかったため確定。

ネット上で飛び交った意見

当時の2ちゃんやヤフコメでは「接客業の危険性」「疑似恋愛商法のリスク」を指摘する声が散見されました。一方で「被害者批判は論点の逸脱」とする反論もあります。

それでもやっぱり耳かきなんかの数分もあれば終わるサービスを建前として、疑似恋愛を不特定多数の人間に売るのはリスクがデカすぎ。キャバなんかもそうだけど、給料はそれ込みだから高いんですよね。

事件後の社会への影響

裁判員裁判制度への影響

この事件は、裁判員制度が始まってから初めて死刑が求刑されたケースとなりました。最終的に判決は無期懲役となりましたが、死刑の重さを初めて認識したと語る人もいて、一般市民が重大事件の裁判に参加することの重圧が感じられます。

いや実際に体験するのとしないのとでは違うとは思いますけど。

ストーカー規制や接客業のリスクへの議論

事件をきっかけに、ストーカー行為の危険性や、接客業に従事する人々が抱えるリスクについても多くの議論が起こりました。

特に耳かき店やメイド喫茶、キャバクラなど、客と従業員の距離が近い業態では、客が従業員に対して過度な親しみや恋愛感情を抱きやすいので。と言うか、それが売りですから。ここ数年は歌舞伎町のホストと立ちんぼという形も世間に認識されてきましたよね。

接客業界の安全対策の見直し

事件後、類似の業種では従業員の安全を守るための対策が求められるように。例えば個人情報管理の徹底や、客との距離感について従業員に教育を行ったりなど。

また出入り禁止となった客への対応や、ストーカー被害の相談窓口の設置など、業界全体で安全意識が高まるきっかけとなりました。つまり業態自体は残っていくようです。なんだかな。

加害者のその後

服役中の林貢二は、被害者遺族へ謝罪文を送付したと伝えられています。

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