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フロリダ州、1989年ティナ・ヘンドリックス殺害事件の全容|DNA鑑定の進歩と逮捕

フロリダ州、1989年ティナ・ヘンドリックス殺害事件の全容|DNA鑑定の進歩と逮捕

アメリカでは、飲酒は全米50州中48州が21歳から。テネシーとワイオミングの一部地域では例外として19歳でもOKというところがある他は、認められていません。当然18歳なんて、どこもダメなんです。

ただ、かつて18歳だった我々には心当たりがあるでしょう。タバコとかバイクとか、ちょっと大人みたいなことしてる自分に酔ってしまうという時期があるということを。だからこそ、そんな子どもを守るのが大人の責任なはずなんです。

1989年にフロリダ州で発生したティナ・ヘンドリックス殺害事件。当時18歳の女性がバーから帰宅途中に消息を絶ち、運河で遺体で発見された事件は、DNA鑑定技術の進歩によって解決しました。

事件発生当時の状況と捜査の難航

バーでの一夜が悲劇に

1989年6月28日。18歳のティナ・ヘンドリックスは、フロリダ州レイク郡(ディズニーワールドリゾートがあるオーランドのとなり)にあるサンド・ダラーというバーにカラオケ大会に参加するために出かけました。家計を助けるための、賞金500ドル狙いです。

結果は不明。まあ、こんな事件になったんだからカラオケ大会どころではないですね。大会の後もティナは楽しくなったのか店に留まりますが、翌朝ハーロング・パーク近くの沼地で遺体となって発見されます。彼女は性的暴行を受け、絞殺されていました。

目撃証言の混乱

捜査は、バーにいた連中の証言が矛盾していたため混乱します。ティナは近くのタイヤショップで働くマーク・オルベラという男性と一緒に出かけたと証言する目撃者もいれば、ジョン・ロッカードという別の男性と一緒に出かけたと言う目撃者もいました。

そのため、警察は誰を最初に疑うべきか判断に苦慮しました。

なぜ事件解決が難航したのか

目撃証言の矛盾の他、初期の誤った人物への疑惑、DNA鑑定をめぐる論争などで捜査は難航。当時はまだ毛髪などの証拠をDNA検査することは不可能だったのです。DNAが小さな遺留物からも採取できるようになったのって、意外にも2000年以降なんですよね。

しかし犯人がバカだったおかげで体液が遺体に残っていたため、2004年の再審査でマーク・オルベラ容疑者との一致が確認されました。

DNA鑑定技術が明らかにした真実

ボーイフレンドのアリバイとDNA鑑定

ティナのボーイフレンド、トム・ホップウッドは彼女と口論していたことから、当初容疑者として挙げられていました。彼はその日の早朝にティナと性交したことを認めましたが、彼のDNAは遺体から発見された証拠と一致しませんでした。

これにより、彼は容疑者から外されましたが、混乱を招きました。もし彼がティナと一緒にいたのなら、なぜ彼のDNAが検出されなかったのでしょう?サンプルの取り違えを疑う人もいましたが、結局専門家はDNAが別の人物と一致したと判断しました。

DNAはマーク・オルベラを指し示す

警察は、マーク・オルベラがその夜ティナと一緒にいたことを突き止めます。彼には薬物や暴行などの犯罪歴がありました。さらに彼の車から発見された毛髪はティナのものと似ていましたが、当時はDNA鑑定が行われていませんでした。

しかしその後、現場の精液がFBIによって検査され、専門家はDNAがオルベラのものと一致しており、別のヒスパニック系男性である可能性は29万分の1しかないと述べました。この強力な証拠が、オルベラの逮捕につながりました。

証拠の問題点

オルベラが雇った専門家の中には、FBIの手法は完璧ではなかったと主張する者もいました。彼らは、オルベラの車に残っていた毛髪もDNA検査されるべきで、DNA一致に関する統計は必ずしも正確ではない可能性があると主張します。

弁護側はサンプルがすり替えられた可能性も主張しましたが、裁判所はFBIの検査プロセスを審議し、弁護側の主張を退けました。

犯人の現在と、フロリダ州における事件の社会的影響

裁判と控訴

オルベラは第一級殺人と性的暴行の罪で有罪判決を受け、終身刑に加え、暴行罪でもさらに終身刑を言い渡されました。彼は長年にわたって以前のDNA検査には欠陥があると主張し、何度も新たなDNA検査を訴えます。

しかし裁判所は、当初のDNA検査が非常に強力であり、毛髪検査を行ったとしても彼の精液が犯行現場で発見されたという事実は変わらないとして、彼の要求を却下し続けました。

その後

現在、マーク・オルベラはシャーロット矯正施設で終身刑を服役中。2018年に行われた仮釈放審査では、被害者家族の強い反対によって申請が却下されています。

事件後、フロリダ州では「失踪者情報の全国データベース登録義務化」が立法化されるなど、司法制度に大きな影響を与えました。またこの事件をきっかけに、未解決事件のDNA再鑑定を求める運動が全米で活発化しています。

レイク郡警察の広報官は「当時の捜査関係者が定年を迎えた今も、事件の詳細を語り継いでいる」とコメント。ティナさんの姉であるトニア・ホップウッドさんは、毎年命日にメモリアルイベントを開催し、妹の記憶を風化させない活動を続けています。

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