
女性のパンクバンドといえばPlasmatics(プラズマティックス)やBikini Kill(ビキニ・キル)など当然のようにアメリカが主流ですが、ロシア発という珍しいグループがPussy Riot(プッシー・ライオット)。
反体制とか過激な主張=うるさい音というイメージがありますけど、日本のアイドルあたりがやると面白いと思うんですがどうでしょう。BiSHはあくまで企画ありきなパフォーマンスで、政治的な感じではなかったですしね。カワラボあたりがやってくれないだろうか。
★ もくじ
プッシー・ライオットとは?その正体と活動内容
概要
プッシー・ライオットは、2011年にモスクワで生まれた女性中心のパンクバンドでありアート集団。「Pussy=女性器」「Riot=暴動」という派手なバンド名だけでなく、怪しげなバラクラバ(目出し帽)を被ってのゲリラ・パフォーマンスが特徴です。
グループのミッションは、単なる音楽活動にとどまらず「抗議」と「パフォーマンス」がセット。たとえば公共の場や教会、裁判所の前などで突発的なライブを行い、それを映像にしてネットに発信しています。
フェミニズム、LGBTQ+の権利、政治的抑圧、資本主義批判など幅広いテーマを扱い、特にプーチン大統領へのディスやロシア正教会と国家の一体化に対する批判で注目されました。
「ロシア産パンク=荒々しい音と過激な言葉」と思いきや、実はアート的で哲学的。抗議イベントそのものが芸術だ、というスタンスもユニークです。
メンバーのトロコンニコワやアリョーヒナなどは実際に投獄されたことで、よりシンボリックな存在になり、世界中のメディアでも議論の的になっています。
なぜゲリラライブ?
ロシアは市民が簡単に集まることが許されないため、伝統的なコンサートはリスク大。そこで数分間だけ公衆の場をジャックし、その様子を動画に収める手法が採られています。
その意図には「自己表現の自由」「抑圧する権力への挑戦」「注目度アップ」という3つの意味合いがあるようです。ソ連崩壊から30年以上経っても、社会主義の気質がなかなか抜けない国なのですかね。
プッシー・ライオットの歌詞は何を訴えているか
主な内容
プッシー・ライオットの歌詞は、内容も表現も直球そのもの。長文のポエムではなく、時にショッキングなフレーズを連発しながら社会の矛盾や政治の腐敗をバッサリ切り裂きます。
たとえば Punk Prayer では、ロシア正教会とプーチン大統領の癒着を「マリア様よ、プーチンを追放して」という形で表現。
近年は人種差別や戦争、女性の権利、LGBTQ+の権利といったテーマにも幅広く言及。特定の個人への怒りではなく、社会構造や権力システムへの根源的な異議申し立てが中心のようです。
歌詞で使われる手法
- 過激な言葉で直接的な罵倒
- 皮肉やジョークを交えた比喩
- 歴史や宗教、現代政治の引用
- キャッチーな繰り返し(チャントのようなもの)
これによって、誰にでも伝わりやすく、かつ怒りも笑いも表現できるのが特徴です。
歌詞の例|プッシー・ライオットが歌った5つのテーマ
プーチン政権批判「Putin Zassal(プーチンは腰抜け)」より
ロシア・レッドスクエアで歌われた定番曲の一節。「プーチンは腰抜けだ/市民は今、立ち上がるしかない」
宗教と権力への風刺「Punk Prayer(パンク祈祷)」より
「マリア様よ、プーチンを追い払って……自由の幻は天国へ消えていった」
戦争批判・平和のメッセージ「Mama, Don’t Watch TV」より
「この戦争はテレビの中だけの話じゃない/ロシアの爆撃で、家も命も奪われている」
海外問題にも目を向ける「I Can’t Breathe」より
アメリカ警察の暴力に抗議した楽曲もリリース。「I can’t breathe(息ができない)」とは、警察官が絞め技を使用したことでエリック・ガーナー(Eric Garner)が死亡した際に発した言葉。
フェミニズム・ジェンダー平等「Princess Charming」「Matriarchy Now」など
童話のお姫様像を逆手にとった表現。「私はお姫様じゃない/私が主人公/私が物語を変えてみせる」
世界のリアクション
海外のソーシャルメディアでは「社会問題をこれだけストレートに歌うアーティストは勇気がある」「パンクバンドとしても異色」といった評価が多数。
さらに「やってることは危なすぎるが、言いたいことはすごくわかる」「音楽なのかアートなのか判断に困る」といった声も。
また、派手なコスチュームについても「子どもにも伝えやすいビジュアル」「虹色バラクラバ、家で真似してみたい」といった反応から、「意味深で怖い」という意見まで多様でした。
歴史・文学的なアプローチにも着目
歌詞やパフォーマンスにはロシアの歴史や古典文学の引用も多く、実は知的パンクな側面もあります。ロシアの詩の伝統や現代の映画パロディまで随所に盛り込んでおり、ファンの間では「歌詞を解釈するのも楽しさの一つ」になっています。
まあバカではこういう主張はできないですしね。