ビッグフット(Bigfoot)ってのは主にアメリカでの名称であって、昔の日本では雪男と言いました。雪山にばっかり出没する猿人みたいな伝説の生き物です。同じ雪が頭につく「雪女」がまったく猿感の無い別物なので、最近ではビッグフットと言うことが多いのかもしれないと推測します。
- ビッグフットって、本当にいるんですか? それとも単なる作り話?
- クマが立ち歩くのを見間違えているだけじゃないんでしょうか?
- なぜ今まで確固たる証拠が見つからないのでしょう?
そんなような疑問に対し、最新の科学的分析と歴史的な目撃例を主にアメリカの情報を元として調査しました。
ちなみに未確認動物を指すUMA(ユーマ, Unidentified Mysterious Animal)という名称は、和製英語です。英語圏の人に言っても通じずに聞き返されるはず。
★ もくじ
ビッグフットとは──未確認生物の全貌
北米大陸に伝わる伝説の生物
ビッグフットはサスカッチとも呼ばれていて、北米、特に太平洋岸北西部(シアトルのあるワシントン州とか、映画スタンド・バイ・ミーで有名なオレゴン州とか、あのあたり)の森林に生息すると言われてきた伝説の生き物。大きくて毛むくじゃらの二足歩行で、目撃報告は1800年代後半からあります。日本で言う明治時代あたり。
目撃情報の地理的分布
長い間、太平洋岸北西部のワシントン、オレゴン、北カリフォルニアの森林地帯がサスカッチのメイン生息地と考えられてきましたが、現在ではハワイ州を除く北米全域で報告されています。ハワイにこんなのいたら、ちょっとおもしろいんですけど。
目撃の報告件数が多いのは
- ワシントン州:708件
- カリフォルニア州:461件
- フロリダ州:338件
- オハイオ州:318件
- イリノイ州:302件
米国地図を頭に浮かべられる人ならわかると思いますが、フロリダやオハイオは雪のイメージが無いので、なんだか不思議な分布です。
先住民族の伝承
ビッグフット伝承の起源は、実はネイティブアメリカンの神話に深く根ざしていて、さまざまな部族が独自の名前と似た毛むくじゃらの生き物に関する物語を持っています。たとえばサリッシュ族はそれをサスカッチと呼んでいますが、これは彼らの言語で「野人」または「毛むくじゃらの男」を意味する「サスクエッツ」が語源。この生き物は、身長が6フィートから10フィート(1.8メートルから3メートル)で黒い毛皮に覆われていて、多くの記録では人間のような特徴を持っているとされています。
世界の類似した未確認生物との比較
イエレン(中国)
湖北省の人里離れた森林や山岳地帯に生息し、イエレンが人間に遭遇すると喜びのあまり気絶し、その後目を覚ましてその獲物(人間か)を食べると言われている。
イエティ(ネパール/ヒマラヤ)
筋肉質で暗い灰色または赤褐色の毛に覆われている。ビッグフットより背が低く、低いつっても平均身長は約6フィート1インチ(185.4センチ)。
オラン・ペンデック(スマトラ島、インドネシア)
身長は2.5~5フィート(76センチ〜152センチ)で大きなぽっこりお腹、色は暗い灰色、黒、黄色、または黄褐色。1923年、オランダ人入植者が最初に目撃したとされる。
ヨーウィー(オーストラリア)
シドニー西部のブルーマウンテン地域で、3,000件以上の目撃情報が報告されている。こんなのに遭遇したら泣いてあやまる。
マピングアリ(ブラジル)
ブラジル中部に生息。1937年、3週間にわたって暴れ回り100頭以上の牛を殺したと伝えられている。それ、もうOSO18じゃん。
共通点としては、二足歩行、毛深くて類人猿のような外見、人里離れた森林地帯に生息。そして存在の決定的な科学的証拠がないということ。で、一部の研究者は、約30万年前まで東南アジアに生息していたギガントピテクス・ブラッキーなどの絶滅した大型霊長類の文化的記憶からきてるんじゃないか、と語っています。
正体は?可能性の高い説
まぁ普通に科学界では、存在について懐疑的つまり嘘だろって感じであって、目撃情報や証拠は何らかの動物、特に後ろ足で立っているクロクマを見間違えただけだと考えています。
実際にクマの個体数と報告されたビッグフットの目撃情報の間には統計的な相関関係があるとしていて、この理論では地域に900頭のアメリカクロクマがいるごとに、ビッグフットが1頭目撃されているという計算になるそうで。
結論としては古代の人類の生き残り、または絶滅した霊長類だとロマンチックに考える人の影響から、文化的な神話と現実の動物の見誤りとの組み合わせでしょう。ここまでハッキリした証拠が出てこないっつうんだから。
ビッグフットは嘘?科学者が指摘する4つの疑問点
明確な身体的証拠の欠如
これまで存在を決定的に証明する物理的証拠はありません。まず死体や骨も発見されていないし、ビッグフットのものかもと思われた毛やウンコは、すでに知られている動物のものでした。
生息地の生態学的矛盾
北米の森林に、このような大型の未発見の霊長類が存在することは、生態学的に怪しいです。まず1つめは、目撃されている地域が広すぎること。温帯雨林から乾燥した地域まで生態系が多様過ぎて適応力が相当高くなきゃならない。さらに、これを維持するには相当な個体数が必要になり、これまでのような目撃数では済みません。
あと、このレベルの大型霊長類なら、かなりの量の植物と数種類の動物性タンパク質が必要になります。特に厳しい冬には、大型霊長類の個体群を支えるための必要な食料が無いという可能性が高い。
遺伝的多様性の問題
ビッグフットがいると主張する研究者は、野生に5万匹に達する可能性があると言います。この仮説上の個体数なら、理論上は十分な遺伝的多様性が確保され、種として存続し近親交配の問題も回避できる、と。
しかし「いない派」の反論としては、そんな大規模な個体数が存在するなら、これほど長い間発見されないままでいることはありえんと指摘しています。
現代の技術でも未発見である
熱画像ドローンや高解像度カメラなどによって研究の精度は強化されたのに、存在の決定的な証拠は依然としてありません。
遺伝子分析技術は向上したけど、ビッグフットのサンプルとされるものは動物、ほとんどはクマのものであることが判明しています。
また写真やビデオ編集ソフトが普及して、ビッグフットの映像とされるものの真正性がますます難しくなっています。さらに今はAIの技術でなんでも作れるし。
ビッグフットの存在は嘘ではないとする4つの説
1967年の有名なパターソン&ギムリンの映像
ほとんどの人が「これ着ぐるみ("着るぬいぐるみ"の略)を着た人間じゃん」としか思わないわけですけども。
しかし生体力学と歩行分析の視点から説明しますと。人類学者で霊長類の専門家であるジェフ・メルドラム博士によれば、映像に出てくる生き物のように膝を曲げて前進することは、人間にとって非現実的だと。特に重い着ぐるみを着ている人間にとっては、映像の生き物のようにヒザを曲げて前進するようにはできていません。
それと、歩幅。撮影後この生き物の平均歩幅を図ると41インチ(1メートル4センチ)でした。これは、平均的な人間が楽に真似できる歩幅ではありません。
次に、筋肉の動き。映像では、生き物が一歩踏み出すたびにふくらはぎの筋肉が曲がっています。太ももの筋肉が曲がり、臀部の筋肉が変化し、背中の筋肉が波打っていますが、これらは着ぐるみでは再現できないものです。また、腕が人間の腕よりもずっと長く、袖に付けた義肢のようなものと考えても動きが滑らかで自然すぎる、と。
これらが「この映像が嘘ではない」という証拠とのこと。そんな筋肉の動きまで細かく見えるかなぁ…。
スクーカム・キャスト
スクーカム・キャストとは、大型動物と思われる痕跡を示す石膏像のこと。2000年9月、ワシントン州のギフォード ピンショー国立森林公園で作られた石膏型からは、前腕、大腿部、臀部、アキレス腱、かかとの認識が可能で、アイダホ州立大学の教授ジェフ・メルドラム博士は「このキャストに表されている構造は普通の人間よりも40~50%大きく、どの動物とも一致しない」と主張しています。
一貫した目撃パターン
「いる派」の研究者は、北米各地で報告されている目撃例が一貫している点も指摘しています。これらの報告では、どれも似通った身体的特徴や行動が述べられていて、つまりこれは単なる言い伝えではなく実在の種族の証拠である、と。さらに一部の研究では、年間降雨量が多い地域とビッグフットの目撃例の増加との間に相関関係が見つかったとも言っています。
歴史的および文化的証拠
支持者はネイティブアメリカンの伝統におけるサスカッチのような生物の歴史も裏付けとなる証拠として挙げています。北米の多くの部族には、毛むくじゃらの大きなヒューマノイド(人間そっくりの生物)を描いた物語や壁画があり、これがビッグフットとの遭遇の歴史的記録であると解釈する人もいます。
結局は信じるか信じないか、ではなく「いる」か「いない」か、ですからね。両方の意見のバランスを取りたかったんですが、どう見ても「いない派」が優勢でした。
それよりもとりあえず、日本各地に現実に生息する危険なクマとの遭遇問題をなんとかしなければ。