小さい頃は「34歳の若さで亡くなった…」とかいう言い回しを聞くと「30代なんて若くないじゃん」とか思ってたけど、今ならめっちゃ若いと思う。そんな30代(元気に活動中)の若手脚本家、加藤拓也さんが情熱大陸に登場。あらためて言うのもなんですが「情熱大陸」ってタイトル、意味不明。
- 加藤拓也さんって、どんな経歴の持ち主なの?
- どんな作品を作ってきた?
- 弱冠30歳でどんな賞を受賞してきた?
こんな疑問について、加藤さんの作品や経歴、インタビューなどを通じて探ってみました。ちなみに加藤さんという名前は全国名字ランキングで第10位。
★ もくじ
加藤拓也作品、7つの代表作
全体的に、ストーリー以上に、たたみかけるセリフ回しで観てる人の心臓をブンブン振り回してきます。感情を動かしてきます。
『滅相もない』:演劇と映像の融合
加藤さんが、脚本だけでなく監督も務めた完全オリジナルのSF群像劇。2024年4月17日(16日深夜)から6月5日(4日深夜)まで、TBSの系列で放送されました。7つの巨大な穴が突如現れた日本で「穴の中には救済がある」と説く教祖・小澤を中心とした信者8人の会合から展開する物語です。それだけ聞くと「は?穴??」と思いますが、実際には人間の内面や社会の在り方を深く掘り下げる作品となっています。
そんで、信者たちの会合シーンがロケで行われる一方、各人物の人生はすべてスタジオセットでの撮影という演劇と映像の手法を融合させた独特の表現方法が特徴です。
『綿子はもつれる』:人間関係の機微を描く
大学講師の夫、悟(平原テツ)と中学生の子どもと暮らしている綿子(安達祐実)は、木村(鈴木勝大)という若い男と不倫関係。物語は、不倫の発覚や相手の死を経て、綿子と悟の関係が修復に向かおうとする様子が描かれます。2023年5月、東京芸術劇場で上演されました。
『ドードーが落下する』:統合失調症を描いた舞台作品
お笑い芸人を目指していた主人公の夏目は、統合失調症を患ったことで人生が狂い始めます。夏目の苦悩と彼を理解しようとする友人たちの葛藤を通じて、社会における精神疾患への理解の難しさを描いた作品です。シリアスな内容でありながら笑いの要素も含まれており、観客にそれらを同時に感じさせ複雑な心境を作るという加藤さんの才能が光ります。初演は2022年で、2025年には改訂版の上演が予定されています。
『わたし達はおとな』:生々しい青春映画
2022年6月に公開された、加藤さんの長編映画監督デビュー作。大学生の優実は、演劇サークルで知り合った直哉という恋人がいる。ある日妊娠に気づくが父親についての確信が持てず悩む。二人の想いや考えがすれ違っていく様子、特に男の態度や言葉が、観ているものをイライラさせるようにできています。関係ないけど、木竜さんの魅力は、まだまだ世間に見つかっていない。
『きれいのくに』:近未来を舞台にしたドラマ
2021年4月から5月にかけてNHK総合の「よるドラ」枠で放送されたドラマ。美容整形が当たり前となった世界を舞台に、若者たちが皆同じ顔(男性は稲垣吾郎、女性は加藤ローサ)になっている社会を描いています。当初は全く別の企画でしたが、最終的に「ダメだ」「変だ」と思われたプロットが採用されました。現代社会における美の概念や個性の価値について問いかける作品。
『平成物語』:時代を反映したドラマ
2018年3月にフジテレビで放送された、2話完結のスペシャルドラマ。平成元年生まれの青年、平成(ヒラナリ)を主人公に、バブル崩壊後の不況や阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、インターネットの普及、携帯電話の登場、そして東日本大震災など、平成時代の重要な出来事を織り交ぜながら展開する青春群像劇です。また、主要キャストやスタッフが全員平成生まれで構成されています。
『俺のスカート、どこ行った?』:多様性をテーマにしたドラマ
2019年、日テレ系で放送されたドラマです。ゲイで女装家の高校教師、原田のぶお(古田新太)を主人公とした学園もので「人間として当たり前」のことを生徒たちに教えようとする原田と、偏差値向上を重視する数学教師、長井あゆみ(松下奈緒)や生徒たちと衝突を繰り返しながら、不登校やカンニング、部活動の問題など、いろんな学校生活の課題に取り組んでいく話。テーマはシリアスですが、古田さんが出てるのでちゃんと笑いどころもあります。
加藤拓也さんの創作スタイル
写実的なフィクションへのこだわり
彼は「写実的にフィクションを作ることは、自分のスタイルであり、いわばフェチ」だと語っています。簡単に言うと映像作品にリアルを追求するって感じでしょうか。「いや、それはないっしょww」と観客に言わせない、というような。
善悪を分けない人間描写
また、登場人物の善悪を分けて描かないのも特徴。一人の人物の良い面と悪い面の両方を描くことにこだわっています。どんな人間も、どちらか1つしか無いなんてことはないですからね。これもリアリティ。
そもそも現在の作品つうのは、昔の西部劇や時代劇みたいに正義と悪がハッキリと真っ二つに分かれていない傾向にはありますけども。
加藤拓也さん、経歴と受賞歴
17歳でラジオ構成作家としてデビュー
加藤さんは大阪の興國高等学校に在学中、17歳でラジオ・テレビ番組の構成作家としてデビューしました。普通の高校生なんか、まだ仕事のことなど微塵も考えないと思うんですけど、この異例の早さは彼の並外れた行動力を示していますね。そういや秋元さんもこの年齢くらいに同じく構成作家としてデビューしてたような。ちなみに加藤さんは翌年18歳でイタリアへ渡り、映像演出を学んでいます。
「劇団た組」主宰者として演劇界で活躍
加藤さんが主宰する「劇団た組」は2013年の結成。独自の世界観を持つ舞台作品を次々と発表しており、2023年には台湾で初の海外公演、2024年にはロンドンのオフウエストエンドで新作を上演するなど、国際的にも展開しています。
数々の賞を受賞
脚本賞
- 第10回市川森一脚本賞:NHKドラマ『きれいのくに』
演劇関連賞
- 第67回岸田國士戯曲賞『ドードーが落下する』
- 第30回読売演劇大賞優秀演出家賞『ザ・ウェルキン』『もはやしずか』
- 若手演出家コンクール2017優秀賞
映画関連賞
- 第45回ナント三大陸映画祭 DISTRIBUTION SUPPORT AWARD:映画『ほつれる』
- 第45回ヨコハマ映画祭 森田芳光メモリアル 新人監督賞:映画『ほつれる』
- 39 edició de CINEMA JOVE グランプリ Premi Lluna de València:映画『ほつれる』
その他
- Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023