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医学部不正入試事件は、なぜ発覚した?──女子や浪人生に不利な合格基準の裏側

医学部不正入試事件は、なぜ発覚した?──女子や浪人生に不利な合格基準の裏側

医学部入試における不正が次々と明らかになり、日本中を賑わせたのは2018年のこと。東京医科大学を皮切りに計10校もの大学で女性や浪人生に対する不当な扱いが発覚。長年続いてきた「公然の秘密」が白日の下にさらされました。

なぜこのような不正が行われていたのか?どのようにして発覚したのか?そして、なぜ女性や浪人生が不利な立場に置かれていたのか?今回は、この医学部不正入試問題の全貌に迫ります。

不正入試発覚のきっかけは、文科省汚職事件

東京医科大学の内部調査で明らかになった事実

きっかけは、2018年7月に発覚した文部科学省汚職事件。文部科学省の局長が息子を東京医科大学に裏口入学させようとして逮捕された事件です。コネ入社と違ってコネ入学は違法なのですね。

これを受けて、警察でも文春でもなく読売新聞が東京医大に関する疑惑を独自に調査。その結果、東京医科大学が女子受験生に対して一律減点を行っていたことが判明し、2018年7月に大学側が内部調査の結果として公表しました。

その後の第三者委員会の調査では、性別や浪人回数による差別だけでなく、出身校による差別や特定の学生を合格させる裏口入学も行われていたことが明らかに。特定の学生の1次試験の結果に8点から49点を加算し、17人が合格もしくは補欠合格していたことが判明します。

さらに2013年から2016年の医学科入試では、女子や多浪の男子を不利に扱う得点操作により、計109人が不正に不合格となった可能性が指摘されました。東京医科大学が不正をしていた期間からすると、被害者は少なくとも2万人以上とされています。

ここってあれですね、むかし厚生年金会館があったとこの一本裏にある学校ですよね。

文科省による全国調査で次々と発覚する不正の実態

東京医科大学の事例を受けて、文部科学省は全国81大学を対象に調査を実施。その結果、不適切な得点調整が行われていた大学たちがボコボコと浮上しました。

2018年10月から12月にかけて、昭和大学、神戸大学、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学、順天堂大学、北里大学、日本大学、聖マリアンナ医科大学が相次いで得点調整を公表。

最終的に、計10大学の医学部で募集要項に記載のない不適切な得点調整が行われていたことがバレちゃったのです。地方では深刻な医師不足が叫ばれてるっていうのに。

なぜ多浪生は差別されたのか

「医師養成機関」としての役割が背景に

医学部が多浪生を差別した背景には、医学部特有の「医師養成機関」としての役割があります。

むかしは多浪生よりも若い学生の方が、長期的に医療現場で働ける可能性が高いと見られていました。二次試験の際に年齢や性別による「属性調整」が行われ、多浪生や女子学生の得点が不当に低く評価されていたわけです。

この不公平な慣行は医学部受験業界で長年噂されていましたが、具体的な証拠がなく都市伝説的な扱いでした。しかし、この事件をきっかけに文部科学省が調査した結果、あちこちで不正が行われていたことが明らかに。

大学側の言い分としては、合格しない可能性のある学生を入学させても意味がないという主張がありましたが、こんなものは超偏見。現在では、こうした差別的は厳しく禁止されており、文科省による監視が強化されています。

昭和大学の事例:二浪以上は不利に

たとえば昭和大学では、一般入試から二浪以上の受験生が不利になるような得点操作が行われていました。二次試験の小論文と面接(80点満点)においては、現役生には10点、一浪生には5点の加算が行われていたのに対し、二浪以上の受験生には一切加算なし。

ちなみに帝京平成大学と令和健康科学大学は実在しますが、平成大学や令和大学はありません。大正大学ならあります。

女子受験生への減点はなぜ行われたのか

女性医師の離職率に関する懸念

東京医科大学の関係者によると、女性は大学卒業後に出産や子育てで医師現場を離れるケースが多いという認識がありました。これにより、医師不足を解消するための暗黙の了解として、女性受験者の点数を一律減点する操作が行われていたとされています。

閉鎖的な業界で昭和時代からの慣習がずーっと続いていたのですね。医師向け人材紹介会社エムステージが実施したアンケート調査によると、65%もの医師が大学側の対応を「理解できる」または「ある程度は理解できる」と回答しています。

医師の過重労働問題

女性医師の休職・離職により、現場で働く医師の過重労働が懸念されていました。実際に、多くの医学生が将来の働き方に不安を感じており、約7割の学生が将来の働き方について不安を抱えているという調査結果もあります。

医師不足への対応

厚生労働省のデータによると、35歳時点で24%の女性医師が離職しているという現状があります。

しかし、この不正入試の問題は受験者側に一切の説明がないまま行われていること。多くの女性受験生の人生に影響を与え、医療界における性差別の問題が浮き彫りになりました。

これはもう、男も子どもを産めるようにするべきなのかもしれません。

差別があった大学はどこ?

不適切な得点調整が明らかになった10校

文部科学省の調査により、当時以下の10校で不適切な得点調整が行われていたことが判明しました。

  1. 東京医科大学
  2. 昭和大学
  3. 神戸大学
  4. 岩手医科大学
  5. 金沢医科大学
  6. 福岡大学
  7. 順天堂大学
  8. 北里大学
  9. 日本大学
  10. 聖マリアンナ医科大学

裁判所も「性別による差別」と認定

聖マリアンナ医科大学は当初、不正には当たらないと主張していましたが、その後の裁判で東京地裁は「性別による得点調整があったことは明らか」と判断。「合理的理由なく女性を差別する」行為であったと認定されました。

この判決は、医学部入試における性別差別の不当性を明確にしました。今後も医学界全体で、公平な選抜方法の確立と多様性を尊重する環境づくりが求められます。

不正入試問題がもたらした影響と今後の展望

社会の意識改革のきっかけに

この医学部不正入試問題は、日本社会において長年「公然の秘密」として黙認されてきた差別的慣行に、多くの人々が疑問を投げかけることとなりました。

特に医療現場における女性医師の働き方や、多浪生に対する偏見など、これまで見過ごされてきた問題に光が当てられました。この事件をきっかけに、医療界全体で働き方改革や多様性の推進が議論されるようになったのは、とりあえず大きな前進と言えるでしょう。

被害者救済と再発防止に向けて

不正入試の影響を受けた受験生たちの救済も進んでいます。2022年3月には、東京医科大学と元受験生の女性との間で和解が成立しました。これは、不当な差別を受けた人々への補償の第一歩となりました。

今後は各大学が透明性の高い入試制度を構築し、公平な選抜を行うことが求められます。同時に、医療現場における働き方改革や、女性医師・多浪生のキャリア支援など、根本的な問題解決に向けた取り組みが必要不可欠です。

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