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三鷹バス冤罪事件の裁判官は誰?──事件の全貌から無罪判決まで

三鷹バス冤罪事件の裁判官は誰?──事件の全貌から無罪判決まで

選挙と一緒に行われる、最高裁判所裁判官の国民審査。この制度って形だけで機能してないですよね、過去これまで罷免された裁判官いないらしいし。大半の国民がめんどくさがるおかげで、今まで知らず知らずのうちに弊害なんかもあったんだろうな。

2011年に起きた三鷹バス冤罪事件は、刑事司法を信用してはならない件として注目されました。これが昭和のはじめとかじゃなく平成の末期に起きたってことが恐ろしいんですよ。

事件概要と逮捕の経緯

三鷹バス冤罪事件の概要

2011年12月22日夜。東京都三鷹市内を走る小田急バスの車内で、公立中学校の教諭であった津山正義さんが同乗していた女子高校生の尻を触った疑いで逮捕されます。「せいぎ」と書いて正義さん。

津山さんはその日、勤務先の中学校に財布を忘れたため取りに行く途中でバスに乗っていました。その後に交際相手の女性と会う予定もありました。財布を忘れなければ、こんなことにならなかったのに。

なお当時、津山さんはリュックサックを身体の前面にかけ、バスのつり革を左手で持ち右手で携帯電話を操作しています。その様子が車内カメラにバッチリ映っており、つまりは濡れ衣ということ。

不当逮捕の経緯と、ずさんな裁判の流れ

事件の発端は、女子高校生が「スカートの上からお尻をなでられた」と訴えたこと。しかし津山さんが犯人だと直接確認したわけではなく、物的証拠もありません。

三鷹警察署は津山さんの両手の微物鑑定を行いましたが、もちろん女子高校生の衣服の繊維などは検出されませんでした。また、バス車載のカメラ映像にだって痴漢行為は映っていません。

警察や検察は、津山さんが痴漢をしたとされる時間帯にもケータイを操作していたことや両手がふさがっていたことを無視し、女子高校生の証言だけを根拠に捜査を進めました。

津山さんは28日間も拘留され、その間、警察官から「私の仕事は君を有罪にすることだ」などと自白を迫られたと証言しています。その警察官の名前をさらすべきです。

有罪判決のイカれた理由

裁判では、バスが工事現場を通過する際に激しく揺れ、つり革を握っていた津山さんの左手がカメラの画角から外れた瞬間があったことを根拠に「このときに左手で触った可能性がある」と裁判官が判断。

この無茶な解釈で有罪判決が下され、津山さんには罰金40万円が科されました。完全にカツアゲです。

津山さんと弁護団は「やっていないものはやっていない」と無実を訴え、東京高裁に控訴。事件は物的証拠がないまま有罪判決が下された典型的な冤罪事件として、社会的な注目を集めました。

一審と控訴審の裁判官

倉澤千巌裁判官(一審・東京地裁立川支部)

「左手が吊り革から離れた瞬間があれば可能」という独自解釈で有罪判決。車内カメラの映像解析を不完全な状態で採用し「可能性」を重視した判断が批判を招きました。こいつ、他にもクソ判決を重ねており、2015年に依願退官しています。

河合健司裁判長(控訴審・東京高裁)

専門家による鮮明化処理した映像分析を採用。津山さんの左手が常に吊り革を保持していた事実を認定し「合理的な疑いが残る」として無罪を宣言。判決文では「一審の判断は論理の飛躍」と明確に否定しています。

決定的証拠となった映像解析

弁護団が依頼した映像解析の専門家、橋本正次教授(東京歯科大)の鑑定が逆転無罪の鍵に。最新技術で鮮明化した映像から、津山さんの行動が詳細に判明しました。

  • 右手:事件時刻中に交際相手へメール送信(通信記録と映像で裏付け)
  • 左手:バス揺動時も吊り革を保持(従来の解析では不明だった部分を解明)
  • リュック接触:女子高生の臀部付近にリュックが触れる瞬間を特定

これらの客観的事実から、河合裁判長は「物理的に犯行不可能」と判断しました。

ネットでの反応と司法への影響

当時のソーシャルメディアの反応

この事件が報道され当時、ネット上でも大きな議論が巻き起こりました。Twitterやブログなどでは、津山さんの無実を訴える声や警察や裁判所の対応への疑問が多く投稿されます。

特に、バス車内のカメラ映像が「両手がふさがっている」ことを示しているにもかかわらず有罪判決が出たことに対し「証拠よりも供述が重視されているのはおかしい」「誰もが冤罪の被害者になる可能性がある」といった意見が。

また事件をきっかけに、痴漢冤罪に関する映画やドキュメンタリーが注目され、冤罪問題全体への関心が高まりました。

「取り調べの可視化」や「証拠の重視」を求める声も強くなり、事件の進展や裁判の様子がリアルタイムで共有されることで、従来よりも多くの市民が司法問題について考えるきっかけとなりました。

司法への影響

津山さんは、警察官から「私の仕事は君を有罪にすることだ」と言われたり、長時間の拘束や精神的な圧力を受けたりしたと証言しています。

この事件をきっかけに、取り調べの全過程を録画・録音する「取り調べの可視化」を求める運動が活発になりました。

市民団体や弁護士会が主催する集会では、冤罪を防ぐため密室での取り調べをなくし、客観的な証拠を重視する司法制度への改革が必要だと訴えています。

しかし、実際に可視化が進んだのは重大事件の一部のみ。痴漢事件のようなケースでは十分な改革が行われていません。裁判所や警察・検察の姿勢も大きくは変わらず、冤罪を生む構造的な問題が残ったままとなっています。

三鷹バス冤罪事件の、その後と教訓

津山さんは無罪確定後、教職に復帰。「子どもたちの背中を見て働きたい」と語り、現在も教育現場で活躍しています。この事件をきっかけに、刑事訴訟法の改正議論が活発化。2023年には「捜査段階での証拠保全義務」が強化される法改正が行われました。

また痴漢冤罪対策として、バスや電車の防犯カメラ増設が加速する社会的影響も生んでいます。

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