昔、とある趣味の集まりで、1人すごく影の薄い男がいました。みんなでビアガーデン行った後日、参加メンバーを思い出す必要があったんですが、どうしても彼だけ最後まで思い出せなかった。写真で確認して、ようやく「あー」となったという。
諜報員、いわゆるスパイは印象が薄く記憶に残りにくい人間だといいます。彼は、もしかしてスパイだったのでしょうか。見た目は完全にチー牛系でした。ジェイソン・ボーンのようなカッコいいタイプは、ホントはスパイにはなれないはずです。
さて最近「日本国内での行動」を理由にスパイ罪が適用され、邦人女性が中国で6年間服役していたというニュースが話題になっています。何をしたらスパイ罪に問われるのでしょうか。日本にいても危険なのでしょうか。
中国のスパイ罪はどのような行為が対象になるのか、そして日本国内での行動がどのように影響するのかを調査してみました。
★ もくじ
中国のスパイ罪とは?その範囲と背景
中国のスパイ罪は国家の安全を脅かす行為を取り締まるための法律で、刑法第110条や「反スパイ法」に基づいています。
特に2014年に「反スパイ法」が施行され、2023年には改正されて対象範囲がさらに拡大しました。スパイ罪の定義には以下のような行為が含まれます。
- スパイ組織に参加すること
- スパイ組織やその代理人の任務を引き受けること
- 国家機密や安全に関わる情報を窃取、偵察、買収、不法提供すること
- 敵に攻撃目標を指示すること
これらの行為に該当すると、最長で死刑が科される可能性があります。2015年以降、少なくとも17人の日本人がスパイ容疑で拘束されているとのこと。いや普通に生活していれば、こんなことしないと思うのですが。リアルVIVANTの方なのでしょうか。
改正「反スパイ法」で広がるリスク
2023年の改正では、スパイ行為の定義がさらに曖昧になり「国家の安全と利益に関わる文書、データ、物品の窃取」や「その他のスパイ活動」といった広範な行為が対象に含まれるようになりました。
なので、どんな行動がスパイ行為とみなされるかが非常にわかりにくい。その他のスパイ活動って何だ?という話。
邦人女性がスパイ罪で服役したケースの詳細
2024年12月30日の共同通信のニュースでは、10年前の2015年に中国で拘束された日本国籍の女性が、日本国内での行動を理由にスパイ罪を適用され、6年間服役していたことが明らかになりました。この件のポインツを整理します。
行動の内容
この女性は、2012年から2013年にかけて在日本中国大使館の関係者と面会、尖閣諸島に関する見解を聞き取って、その内容を日本政府関係者に伝えたとされています。
スパイ罪適用の理由
国家機密に関する情報は含まれていなかったのに、中国当局はこの行為を「スパイ活動」と認定。
日本国内での行動が対象に
日本国内での情報収集活動がスパイ罪の適用理由となったのは初めてのケースであり、中国当局が日本国内で証拠を収集していた可能性も指摘されています。
でもなんでしゃべった側の中国大使館の関係者が捕まらなかったのかがわからん。
日本国内での行動も危険?スパイ罪の適用リスク
1. 外国政府関係者との接触
中国大使館や関連機関の関係者と頻繁に接触し、情報をやり取りする行為はスパイ活動だと疑われるリスクがあります。特に、尖閣諸島や台湾問題など日中間で敏感なテーマに関する情報交換は要注意。
2. 情報の提供や共有
たとえ国家機密に該当しない情報であっても、政府関係者や企業の内部情報を外国側に提供する行為は、スパイ行為とみなされる可能性があります。今回のケースでも、女性が伝えた情報は国家機密ではありませんでしたが、スパイ罪が適用されました。
「絶対誰にも言うなよ」という噂話も危険です。
3. ビジネスや学術活動での情報収集
中国では、ビジネスや学術活動を通じた情報収集もスパイ行為とみなされる場合が。特に、技術や知的財産に関する情報が対象となることが多いです。出張行く方、怖くないですか?
4. ソーシャルメディアやオンラインでの活動
ソーシャルメディアやリモート会議での発言や情報共有もリスクとなる可能性があります。中国政府はインターネット上の活動を監視しているため、国家安全に関わると判断される内容がスパイ行為とみなされることがあります。
まあアメリカ政府だろうが日本政府だろうが自国民を監視しているらしいですが。
関係ないけど、ひと昔前にLINEで日本語に違和感のある詐欺メッセージを送ってくる相手に対し「天安門事件」と返信して撃退するのが流行ったことを思い出しました。
渡航者が中国で注意すべきポイント
1. 不要な接触を避ける
中国政府関係者や関連機関との接触は、必要最低限にとどめるように。特に、情報提供を求められた場合は慎重に対応することが重要です。スパイ映画なんかで手口を学んでおくのもいいかもしれません。
2. 持ち物やデータの管理
中国では、携帯電話やパソコンの検査が行われる場合があります。業務上のデータや個人情報が含まれる場合は、事前に適切な対策を講じましょう。恥ずかしい写真はとっておかないようにしましょう。
3. 法律や規制の確認
中国の法律や規制について事前に十分な情報を収集し、現地での行動が問題とならないように注意しましょう。外務省の海外安全ホームページなどに目を通しておくのは当然のこと。「ホームページ」という呼称に脱力したとしても。