
我が国の王が野球観戦している中、イランの最高指導者ハメネイ師の後継としてモジタバとかいう人が選出されたそうで。
多くのメディアでは「モジタバ師」と書かれていますが、アリ・ハメネイの息子で姓は同じだから「ハメネイ師Jr.」とか「ハメネイII」の方がふさわしくないのですか。どうなんでしょうか。
イランは革命で王制を倒したはずなのに「世襲って王政復活じゃん」的な見方もされています。今後どうなるのでしょうか。
ちなみに我が機ではモジタバが文字束と一発変換されるのですが、文字束ってなんですか。花束や札束のようなイメージが湧かない。
モジタバ・ハメネイ師は、どんな人物か
出身地、学び、宗教的な肩書
モジタバ・ハメネイ師は、1969年イラン北東部の宗教都市マシュハド生まれ。マシュハドって街はシーア派の重要な聖地であり、幼い頃から宗教色の濃い環境の中で育ちました。
シーア派は、イスラム教の創始者ムハンマドの後継を血縁にこだわるチームです。日本で言うところの「天皇は男系!」と訴える人たちみたいな感じか。
で、その後モジタバ氏はイランのシーア派神学の中心地であるコム(ゴム)の神学校で神学を学び、ホッジャトルエスラムという中位の聖職者のタイトルを取得します。
ただモジタバ氏は宗教者としてだけでなく、同時に政治、軍、情報機関の中枢にも深く入り込んできました。
コムで神学を教えながらも父アリー・ハメネイ師の事務所(ベイト・ラフバリー)の重要な役割を担い、イラン革命防衛隊(IRGC)とも太いパイプを築いています。
性格・スタイルは、影の実力者
モジタバ氏は、公の場に姿を見せることは少なく演説やインタビューもほとんど報じられていません。なので、一般市民からすると「名前は知っているけれど、何を考えているのかよくわからん人物」。
一方、体制内部の関係者やアナリストの間では「長年にわたり最高指導者事務所の運営に深く関与し、政策決定に影響力を行使してきた」とみられています。
たとえば、2005年のマフムード・アフマディネジャド氏の大統領選勝利の際、改革派は「最高指導者の息子が宗教界と革命防衛隊を動かして選挙結果に影響を与えた」と非難しました。
また2009年の大規模な抗議デモを生んだ大統領選でも、モジタバ氏が強硬な対応を後押ししたのではないかという見方がメディアで繰り返し取り上げられてきました。
つまり、カリスマ的な演説で民衆を引きつけるタイプではなく、綿密なネットワークと情報を手に静かに権力を動かすという影で牛耳るタイプのちょっと不気味なリーダー。
モジタバの経歴と、革命防衛隊との関係
IRGC(イラン革命防衛隊)とは
簡単に言うと、イランの最高指導者直属の軍事組織。通常の国軍とは別個に存在する親衛隊的な武装勢力です。イラン革命の体制を守っていくため、クーデターの防止と政権防衛を目的としています。
なかでも特殊部隊であるコッズ部隊は対外工作、情報活動、域外作戦を担当し、弾道ミサイルや無人機なども運用。アメリカを筆頭に一部の国は、革命防衛隊をテロ組織に指定して制裁を科しています。
「戦争」「宗教」「政治」「治安」という、イランのすべてを経験
モジタバ氏はイラン・イラク戦争中、ハビーブ大隊などに従軍。そこを通じて軍内部の人脈を築いたとされています。単なる権力者の子どもではなく、自らも前線での経験を持つ人物という点が革命防衛隊の幹部にとっては親近感や信頼につながっているみたい。
革命防衛隊、情報機関との結びつき
イラン国際テレビや各国メディアは、専門家会議でモジタバ氏を後継に選ぶのに革命防衛隊が後押しを行なったと報じています。
革命防衛隊は軍事力だけでなくデカい資金源も握っており、その利害と体制維持を理解してくれる人物をトップに据えたいという思惑がありました。その意味で、革命防衛隊にとって都合の良い最高指導者でもあるようです。
一方、一般の国民や宗教界の中には「宗教的な位階が十分でない」「世襲は革命の理念に反する」といった不満もあるようで、後々の火種になる可能性も。
モジタバ体制で、イランはどんな国になっていく?
国内は、治安重視か
革命防衛隊や治安機関との強い結びつきを考えると、最大の優先事項はデモや暴動の抑え込み、そして体制の安定維持になるでしょう。
近年、イラン国内では経済不況や物価高、女性の権利をめぐる抗議など、さまざまな鬱憤が溜まっています。ニューヨーク・タイムズなどは、モジタバ氏がこうした不満を解決するものではなく、むしろ世襲に対する反発を新たに生む可能性があると指摘。
一方、保守派や体制支持層は、先代の父と思想的に近いモジタバ氏なら急激な路線変更や権力闘争を抑えられるとして期待。戦時下や経済制裁下では、変化より現状維持が優先されやすいという現実もありますので。
対外姿勢は、引き続き強硬路線
対外政策、特にアメリカやイスラエル、その他周辺国との関係についても、大きく穏健化するという見方は少数派。
実際、アメリカとイスラエルによる攻撃で父アリー・ハメネイ師やガーセム・ソレイマニ司令官は命を落としたわけで。そのため「報復」か「国益」かの難しい選択を迫られることでしょう。


